◆米女子プロゴルフツアー 今季メジャー第3戦 全米女子オープン 最終日(9日、ペブルビーチGL=6509ヤード、パー72)
【モントレー(米カリフォルニア州)9日=岩原 正幸】快晴の下、世界一美しい海沿いコースで全競技が終了した。日米通算11勝の畑岡奈紗(アビームコンサルティング)は1打差の単独首位で出て1バーディー、5ボギーの通算3アンダーで、6打差の4位で終えた。前半を首位に並んで折り返したが、後半ショット、パットともに苦しんで日本女子4人目のメジャー制覇はならなかった。
1打差2位で出た25歳のアリセン・カーパス(米国)がショット、パットともに正確性を発揮して6バーディー、3ボギーの69で回り、通算9アンダーで米ツアー初優勝をメジャータイトルで飾った。
畑岡は、黒のウェアと白いパンツに身を包んで、予定通りに日本時間午前5時20分にティーオフした。1番はフェアウェーからピン左5メートルにつけるもパー発進。2番パー5はアイアンでの3打目をグリーン奥の傾斜を使って、ピン左4メートルにつけるチャンスも、惜しくも右に外した。
3番は2打目をグリーン右手前ラフに入れ、3メートルのパーパットがカップ左に外れてボギーが先行した。6番パー5でピン右下10メートルへ2オンに成功し、2パットで初バーディーを奪って首位に並んだ。8番は5アイアンでの第2打でスーパーショットを放って、ピン右上2メートルのチャンスにつけたがバーディーパットは惜しくもカップ左を抜けた。9番は、アイアンでの第2打がグリーン左手前のバンカーにつかまるピンチも好アプローチでしのいだ。
首位に並んで折り返すも、10番で同じ最終日最終組のカーパスがバーディーを奪って1打差2位に後退。12番パー3で、米ツアー初勝利を目指すカーパスが先に5メートルのパーパットをねじ込み、畑岡は1・5メートルのパーパットを外すボギーで2打差に開いた。14番パー5で畑岡は、3打目をグリーン左奥のラフへ入れるミスでボギー。カーパスは2メートルのバーディーパットを沈めて4打差となった。畑岡は16番で第2打をグリーン手前のバンカーに入れてボギー。17番もボギーと失速した。この日は、計33パットと不規則な転がりをするポアナ芝のグリーン上で苦戦した。
1977年の全米女子プロ選手権の樋口久子、2019年のAIG全英女子オープンの渋野日向子、21年の全米女子オープンの笹生優花に続く日本女子4人目のメジャー制覇はならなかった。
畑岡はホールアウト後、中継局のインタビューに答えた。
―昨夜は寝られましたか?
「はい。夜はいつも通り寝られました。9時間くらいですかね」
―緊張はなかった?
「そうですね。ちゃんと寝ることはできました」
―今朝はどうでした?
「今まではやっぱり追う側でいて、どんどんバーディーを重ねていって追いつかずに負けてしまうことが多かったので。上にいた方が、攻めやすいかなと思ってやっていました」
―今朝の練習場のフィーリングはどうでした?
「2日目と同じくらい感覚的には練習場では良かったです」
―バックナイン(後半)が残念でしたね
「そうですね。今日は前半からなかなかパットが、あと一筋決まらなくて。唯一、6番のバーディーも短かったので。昨日までとの違いは5、6メートルをなかなか沈められなかったところかなと思います」
―その違いはどこに?
「ラインの読みはあっていたと思うんですけど、タッチが少し弱くて手前で切れてしまうのが1、2番で続いて。その後も続いてしまいました」
―今大会の収穫は?
「やはりトップとして最終日を迎えるのは初めてだったんですけど、重圧もありながらなかなか攻めきれないところがあったので。最後の景色、悔しさを忘れずにこれからも努力をしていきたいと思います」
◆畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年1月13日、茨城・笠間市生まれ。24歳。「NASA(米航空宇宙局)」にちなんで、「誰も成し遂げていないことをやってほしい」という願いを込めて名付けられた。母の影響で11歳から本格的にゴルフを始める。2015、16年世界ジュニア優勝。16年全米女子アマ8強。同年秋に日本女子オープンで史上最年少17歳で優勝し、プロ転向。17年から米ツアーを主戦場に移す。国内メジャー4勝を含む日米通算11勝(前週まで)。これまで全米女子オープンは21年に2位が最高。同年夏の東京五輪は9位。家族は両親と妹。158センチ。