◆女子プロゴルフツアー 北海道meijiカップ 最終日(6日、札幌国際CC島松C=6593ヤード、パー72)
首位から出た鈴木愛(29)=セールスフォース=が5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算15アンダーで、自身2年ぶりとなるツアー18勝目を挙げた。ボギーなし優勝は記録の残る1990年以降、史上16人目。17、19年賞金女王が攻めのプレーを貫き、2位に3打差をつける圧倒劇で復活を果たした。桑木志帆(20)=岡山御津CC=が6つ伸ばし、12アンダーでツアー自己最高に並ぶ2位に入った。
復活優勝を果たした鈴木に涙はなく、満面の笑みだった。前半は7番までパー。同組のささきしょうこ(27)に一時は逆転を許すも「焦りそうだったが、午後いい展開に持っていけたら」と気持ちを抑えて8、9番の連続バーディーで再び首位に立った。
元賞金女王に慢心はなし。12番で1メートル、15番で2メートル、16番で8メートルのバーディーパットを沈め、先に競技を終えた桑木と3打差に開いた。それでも「いけると思ったのは最後(18番)の第3打がグリーンに乗った時」だったという。前週も最終日を首位で出たが「逃げるゴルフが多かった」と守りに入って3位。その反省から今週は最後まで攻め抜いた。
ボギーなし優勝はツアー16人目となった。ピンチはあった。この日の6番パー5。第2打を左の林に入れ、第3打も右のラフへ。ピンの左を狙い「3~4メートルならいいパットが打てる確信があった」と宣言通りの位置につけてパーセーブ。久しぶりに優勝カップを手にすると「本当にうれしい。この2、3年はゴルフが嫌いになることが多かった」と明かした。
プロ11年目の29歳。パットの名手も昨季はトップ10入り6試合で賞金ランク28位と苦しんだ。母・美江さん(52)によると、「練習やトレーニングは嫌いだった」が、今年から毎週月曜か火曜に3時間トレを継続中。さらに今季はコーチを置かず、トレーナーに「スイングの切れを出したい」など自らの考えを伝え、ゴルフを組み立てるように変更。今季16戦でトップ10入り8度と見事に復調した。
通算18勝目を挙げた鈴木の大きな目標は、30勝以上で獲得できる「永久シード」だ。不動裕理(46)らわずか6人のみの栄誉。近年、20歳前後の若手の台頭が目立つが「自分もトレーニングなどを頑張らないと。若い選手には負けたくない」。自立したツアー屈指のパット巧者が新たな一歩を踏み出した。(富張 萌黄)
◆ボギーなし優勝 鈴木は記録の残る1990年以降で16人目のボギーなし優勝となった。3日間54ホール大会では、今年3月のTポイント×ENEOSを制した青木瀬令奈以来15人目。4日間72ホール大会では22年7月、楽天スーパーレディースVの勝みなみが唯一達成している。
◆鈴木 愛(すずき・あい)1994年5月9日、徳島・三好郡生まれ。29歳。10歳でゴルフを始め、鳥取・倉吉北高2年時に中国女子アマ制覇。2013年にプロ転向。14年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制しツアー初V。通算18勝。得意クラブはパター。17、19年賞金女王。趣味は料理。155センチ。