
18番、バーディーを奪い声援に応える岩井明愛(カメラ・今西 淳)
◆女子プロゴルフツアー 今季メジャー第3戦 日本女子オープン 第1日(28日、福井・芦原GC海C=6528ヤード、パー72)
2週連続で完全優勝と絶好調の岩井明愛(あきえ、21)=ホンダ=は5バーディー、ボギーなしの67で5アンダーの首位発進。1988年のツアー制施行後で、日本人選手では初の7ラウンド(R)連続首位のツアー記録を樹立した。今季ツアー全体で7位の飛距離を武器に、海に面したメジャーの難コースを攻略。史上初の3週連続完全優勝の偉業が見えてきた。吉田優利(23)=エプソン=ら4人が首位。
勢いが止まらない。岩井明が女子日本一を争う大舞台もトップで滑り出した。2週連続で初日から首位を譲らない完全Vを継続する中、「プレーに集中」との言葉通りに10、11番で連続バーディーで発進。5番パー5では、持ち前のパワーで第2打を14メートルに運び、楽々バーディーを奪った。「自分の思うようなプレーができている。どういう球を打ちたいかという時に、その球が打てる」と表情からも手応えがにじんだ。
ショットとパットが絡み、5アンダーの67で、2週前の初日からこの日まで、7R連続首位となった。招待選手を除き、18年の申ジエ(韓国)に続く2人目のツアー最長記録で、日本人では初。後半の7番以降では風が吹いたが「何とかボギーを打たずにあがれた」と安ど。ラフが深いメジャーのセッティングにも屈することなく、史上初の3週連続完全Vの偉業へ、第一関門を突破した。
今季のドライバーの平均飛距離は昨季(全体6位)から約3ヤードアップの254・79ヤード(同7位)。本人は「飛ばし屋ではない」と否定するが、昨季年間女王で何度もV争いを繰り広げる山下美夢有(みゆう)は、岩井明の強みを「やっぱり飛距離」と素直にたたえる。昨季は双子の妹・千怜(ちさと)が先に2勝。本人は焦りがあったことを認めた。結果に執着したが、伴わなかった。それが今年4月の初勝利を機に、持ち前の思い切りの良さを取り戻し、ドライバーの数字に表れている。
千怜が2打差の10位につけ「(決勝Rで)一緒に回りたい」と明愛は声を弾ませた。自身のプレー後に嵐のような悪天候に変わった。天も味方つけ、先頭で初日を終えた。3週連続優勝は過去2人いるが、メジャーを含んだ記録なら初めて。「歴史は作りたいけど、試合中は考えない。気にせずプレーに集中できたら」。今の明愛には、慢心が生まれる隙間もない。(岩原 正幸)
【岩井明愛の記録メモ】
◇第1Rで達成
▽7R連続首位 18年の申ジエ(韓国、ゴルフ5レディス&日本女子プロ選手権)以来2人目でツアー最長タイ(招待選手を除く)。日本人では初めて。
▽3週連続初日首位 日本女子プロ協会によると、16年キム・ハヌル(韓国)、17年笠りつ子の例がある。
◇期待されるもの
▽3週連続V 07年全美貞(韓国)、19年鈴木愛に続く3人目。メジャーが絡むのは初
▽3週連続完全V 達成すれば史上初(※以上の記録は88年ツアー制施行後)
▽ローアマ(20年大会、14位)と女子オープン制覇 大会史上6人目