◆米女子プロゴルフツアー メジャー第4戦 エビアン選手権 最終日(14日、フランス・エビアンリゾートGC=6527ヤード、パー71)
1打差2位から出た古江彩佳(24)=富士通=が1イーグル、6バーディー、2ボギーの65で回り、通算19アンダーでメジャー初優勝を達成した。米ツアー2勝目となる日米通算10勝目で賞金120万ドル(約1億9320万円)を獲得。153センチと小柄な体で日本女子4人目となるメジャー覇者となった古江のすごさを、元世界ランク1位の宮里藍さんら多くの契約選手を見てきたブリヂストンスポーツ・中原創一郎氏(49)が語った。
ドラマのような幕切れだった。古江は3人が並んだ最終18番、4メートルのイーグルパットを沈め、念願のメジャータイトルをつかんだ。12番のボギーでトップと最大3打差に。ここから得意の小技で驚異的な粘りを発揮した。14番から2つのロングパットを含む3連続バーディー。「大会の神様から諦めるなと言われた感じ」と、終盤5ホールで5打伸ばす快進撃で逆転した。6月にパリ五輪代表争いから落選した悔しさを晴らした。
米ツアー9勝で17年限りで引退した宮里藍さんに憧れる古江。長年、藍さんを担当し、古江の海外メジャーにも同行するなど間近で見てきたブリヂストンスポーツの中原氏は「準備をしっかりやっていたので、いつ(メジャーを)勝ってもおかしくないくらいだった」と明かした。
「ショットからパットまでバランスよく練習して、欠点がない」という特徴に加え、日頃の大会の練習ラウンドでも「グリーンを外した時のさまざまな場面を想定して、試合前に終わらせておく」という。ここぞの局面でピンを狙い、仮にグリーンをこぼれてもリカバリーできる強さが古江にはある。
メジャー昇格前の09、11年に藍さんがエビアン―を2勝するなどコースが日本人向きである点も中原氏は指摘した。「斜面にあり、日本のコースに地形が近い。コントロール、方向性が重視される。グリーンも軟らかく、(第2打を)多少後ろから打っても(転がらず)グリーンに止めていけるため、日本人のスタイルに合う」と分析。レマン湖を望む山岳コースで、今季フェアウェーキープ率(約83%)、パーオン率(約72%)とも高水準を誇る古江の正確性が最大限に生きた。
身長155センチの藍さん、同153センチの古江はともに小技が武器のプレースタイルも似ている。「パワーゴルフが主流になった今、技巧派の選手がこうしてメジャーを勝ち、日本人として誇りに思います」と中原氏。「古江さんは(他選手が)飛ばすことに対抗せず、しっかりと自分の基準を持っている。道具(クラブ)にも1、2ヤード刻みでこだわる、そういった取り組みが実を結んだ。本当にうれしい」と感慨深げに話した。
藍さんもインスタグラムのストーリー機能で「本当におめでとう―!」と祝福。憧れの人が米ツアー初優勝を飾ったコースでのメジャー制覇は、古江にとって忘れられない優勝となった。(岩原 正幸)