有村智恵、全米女子OPでV争いの竹田麗央のショット力と渋野日向子のグリーン周りを絶賛「勝てるゴルフでした」


有村智恵

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 日本女子プロゴルフツアー通算14勝で、米ツアー本格参戦経験もある有村智恵が2日、今季メジャー第2戦の全米女子オープン最終日を観戦した。U―NEXTの生配信で解説を務め、ともに2年連続でトップ10入りを果たした竹田麗央(22)=ヤマエグループHD=、渋野日向子(26)=サントリー=組の健闘を見守った。女子最高峰のメジャーで見せたそれぞれの強さを分析した。

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 (2打差2位の)竹田選手と(4打差7位の)渋野選手は、本当に悔しさの方が大きいと思います。2人ともかなりもったいないというか、勝てるゴルフでしたよね。竹田選手は後半、難コースで幾度もバーディーチャンスにつけながら、パットを決め切れなかった。本人にしか理由はわかりませんが、これだけ多くのチャンスをショットで作れていたこともすごいこと。いいところもたくさんありましたがその分、本人は悔しさも大きいと思います。

 竹田選手は序盤の1番や5番で、ティーショットが左に曲がっていたのをラウンド中に見事に修正して、後半はチャンスを数多く作れていた。これで昨年大会の9位に続き、2年連続のトップ10入り。(主催の)USGA(全米ゴルフ協会)のセッティングに高い適性があるんだと思いますね。飛距離が出て、高弾道のアイアンショットも打てる。グリーンが硬く締まっていても、ピンそばに止めることができます。パッティングなど今大会の反省を今後に生かしていければ、必ず近いうちにこの大会を勝つと思いますね。

 今大会の渋野選手は、ショットの感覚は決してよくなかったと思います。それでも、マネジメントがしっかりしていた。アプローチとパターが素晴らしかったですね。パッティングは元々、アドレスが広いタイプ。重心のポジションがちょっとだけ左体重になっていて、シンプルに動かすだけでいいストロークができていました。メジャー舞台は緊張や疲れもあり、それを4日間保つのは大変です。それでも、しっかりと持続できていました。

 渋野選手は2019年のAIG全英女子オープン優勝はもちろん、5大メジャーでの活躍が目立ちますよね。私には「持っている」としか表現できないのですがものすごいことです。文章で説明できない、特別な人にしかない能力だと思います。どちらかというと、(スコア)伸ばし合いのバーディー合戦よりも、耐えることを強いられるメジャー舞台のセッティングの方が合っているのかなとも思いますね。

 開催コースのエリンヒルズは、メジャーを開催するために作られたのかと思うくらい興味深いコースでした。欧州のリンクス風の作りで、木がなくて、アップダウンが多くてグリーンの起伏も激しい。アメリカにはあまりないタイプのコース。狭いエリアにピンポイントで落とすショットの精度が求められる。今大会で欧州勢や日本勢が上位に多く入ったのは、そういったコースが母国で多くて、距離感を出しやすいからだったからかもしれません。

 グリーンはすごく見ていて面白かったです。どこから打ってもシンプルな上り、下りが無くて上ったり、下ったりする。どのホールも激しい傾斜があり、頭で考えていたらゴルフにならない。感覚で、イメージ通りに打てる技術がないとスコアをうまくまとめられない。

 この大会で今季開幕から、米女子ツアーでは13試合連続で日本勢がトップ10入り。過去最多13人の日本選手が本格参戦中。決して日本人がたくさんいるから皆、楽しくプレー出来ているわけでは無い。試合ごとの移動も大変ですし、結果を残したいという重圧もある。陰での努力や精神的な強さがないと続きません。シェブロン選手権の西郷選手の優勝で「こういうゴルフをすれば、(日本人でも)メジャーでも勝てるんだ」という正解が見えて、自信や刺激にもつながっているんだと思います。今季残り3つのメジャー大会でももちろん、日本選手の活躍が楽しみです。

 ◆有村 智恵(ありむら・ちえ)1987年11月22日、熊本市生まれ。37歳。父の勧めで10歳からゴルフを始める。宮城・東北高卒業後の2006年プロテストでトップ合格。08年プロミスレディスで初優勝。11年スタンレーレディス第1ラウンドでは、アルバトロスとホールインワン。09、11、12年に自己最高の賞金ランク3位。国内女子ツアー通算14勝。13~16年途中までは米国でプレー。21年12月に一般男性と結婚。24年4月に第1、2子となる双子の男児を出産。159センチ。

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