
16番、ティーショットを放つ小平(カメラ・今成 良輔)
◇男子プロゴルフツアー ISPSハンダ夏の決戦トーナメント 第2日(22日、北海道・ブルックスCC=7286ヤード、パー72)
12位で出た米ツアー1勝の小平智(35)=Admiral=が1イーグル、6バーディー、ボギーなしの64をマークし、通算13アンダーの単独トップに浮上した。7月初めから1か月半、シーズン中では異例の米国合宿を敢行。2021年マスターズ覇者で同ツアー11勝の松山英樹(33)=LEXUS=の助言をきっかけに復調を遂げた。首位でスタートした石川遼(33)=カシオ=は72と伸ばせず、8アンダー24位に後退した。
クールに淡々と、小平が64のビッグスコアをたたき出した。「ショットは昨日からずっといい。パットが入ってかみ合った」。13番でピン左奥5メートルを沈め、3連続バーディーで加速。17番パー5で255ヤードの第2打を5ウッドでピン手前1メートル半に運びイーグルを奪うと、混戦を抜け出した。
18年RBCヘリテージでの優勝を機に米ツアーに本格参戦した実力者は昨夏、日本に主戦場を戻した。賞金ランクは53位でシード確保がやっと。23年1月にコーチでもあった父・健一さんを亡くし「心の支えがいなくなった」と話す。「自分のゴルフを一番に分かってくれている」と常々口にしてきた存在を失い、モチベーションの維持に苦しんだ。
6月のプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品後、心と体を整えるために渡米した。1か月半フロリダの自宅でゴルフ漬けの日々を過ごし、松山と3日間練習をともにした。「小平さん、昔こうでしたよね?」。スイングについて指摘を受けた。詳細は「秘密」ながら、気づきがあった。「いい方向にいっている。英樹から刺激を受けた」と復調の理由を明かした。
世界最高峰のツアーを共に戦ううちに、2人だからこそ分かり合える信頼関係が生まれた。「僕は人に恵まれている。今は親父に言ってもらえないことを英樹に言ってもらえる」と感謝した。米国を主戦場にする久常涼(22)、平田憲聖(24)が「一緒に回りましょうよ」と連絡をくれた。後輩の優しさにも触れた。
10月に横浜で開催される米ツアー「ベイカレント・クラシック・レクサス」が、ターゲットだ。バンテリン東海クラシック(10月2~5日)終了時の賞金ランク上位7人が出場資格を得る。「英樹と戦いたいし、変わったんだぞっていうところを見せたい」。優勝賞金4260万円を手にすれば、現在の66位から一気に圏内に浮上する。松山との再会を果たすため、18年日本シリーズJTカップ以来となる7年ぶりの勝利をつかみ取る。(高木 恵)
◆小平 智(こだいら・さとし)1989年9月11日、東京・三鷹市生まれ。35歳。10歳からゴルフを始め、駒場学園高から日大へ進学。2年で中退して2010年にプロ転向。13年の日本ツアー選手権で初優勝し、15年の日本オープン、18年の日本シリーズJTカップを制してメジャー3冠を達成。日本ツアー通算7勝。18年RBCヘリテージで日本勢5人目の米ツアー制覇を達成した。24年7月に日本に復帰。172センチ、70キロ。