
ツアー年間女王に決まり、花束を手に笑顔を見せる佐久間朱莉(カメラ・豊田 秀一)
◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 第2日(21日、愛媛・エリエールGC=6595ヤード、パー71)
プロ5年目で今季4勝の佐久間朱莉(22)=大東建託=が初の年間女王に輝いた。第2日は67で単独首位に立ち、年間ポイントランク2位の神谷そら(22)=郵船ロジスティクス=が予選落ちしたため逆転の可能性が消滅。次週の今季最終戦を残して戴冠が決まり、涙ながらに喜んだ。昨季の竹田麗央(22)=ヤマエグループHD=に続く初優勝からの新女王誕生。師匠で男子ツアー94勝の尾崎将司(78)に最高の吉報を届けた。
「年間女王おめでとう」。佐久間は首位でホールアウト後、ギャラリーの声で知り「あっ…終わったんだな」と安どした。5月の2勝目でポイントランク1位に立ち、一時は約300ポイント差に迫られながらも逃げ切り、年少6番目の22歳345日で戴冠。「まさか自分が取れると思っていなかった年間女王を取れてうれしい。小さい頃からの夢がひとつかなった」と涙した。
ジャンボ門下生で初女王に輝いた。中3から師事し、プロ野球・巨人の長嶋茂雄さんに憧れる尾崎が「最初と最後の3ホールを大事に」と思いを込めた言葉「3・3・3」を教訓に4月の初Vから怒とうの4勝。「私のゴルフ人生を変えてくれたジャンボさんに報告に行きたい。(今大会で)5勝できましたと言えるように頑張る」と笑顔がはじけた。
昨季は2位が3回。岩井姉妹や桑木志帆ら02年度生まれの同級生にツアー優勝で先を越され「置いて行かれてる気持ちになった」と嘆いた弱い自分はもういない。「人は人、私は私と思うようになった」。試合前は他選手より比較的長い1時間をかけてウォーミングアップし、グリーンの傾斜を測るための平衡感覚を修正。「年間女王を取れたのはパッティングのおかげ」と、昨年32位だった平均パット数は6位(28・8959)に上がった。
昨夏から藤山和也トレーナーに師事。体幹など鍛え、今季は全35試合に出場と皆勤賞だ。「ダースベイダー」と呼ぶ特殊な器具を口にくわえ、呼吸しにくい状態で腹筋を鍛えるなど「一番の変化は腹圧。だいぶお腹は硬くなった」。独特のゆっくりしたテイクバックから速く切り返すスイングを可能にし、平均ストローク69・97は唯一の60台。ライバルが「最強」と脱帽するショット精度が光る。
残り2試合。まずは首位で迎える週末に5勝目を狙う。海外挑戦は「今は考えていない」と言い、「毎年勝てる強い選手になりたい。メジャーも勝ちたい」。国内最強の称号を手にしても、佐久間の野望は尽きない。(星野 浩司)
◆佐久間 朱莉(さくま・しゅり)2002年12月11日、埼玉・川越市生まれ。22歳。父の影響で3歳からゴルフを始める。19年の日本ジュニアで2位、翌年アマ日本代表入り。21年に埼玉平成高を卒業し、同6月のプロテストにトップ合格。昨年は3度の2位を含むトップ10入り14回でメルセデス・ランク8位。今季はKKT杯バンテリンレディスで初優勝し、通算4勝。好きな歌手は平井大。好きな言葉は「笑う門には福来たる」。155センチ。家族は両親と兄。

