【フィッティングの薦め】第1回


 フィッティングという言葉を聞いたことがあるだろうか? 一般的には「フィッティングルーム」(試着室)などのような使われ方をするが、実は、このフィッティングは、「調整、整備、(仮縫いの)着付け、寸法合わせ」などを意味するもの。そこから、ゴルファー個々に合わせて、クラブを最適の状態にすることをいう。特に上級者であればあるほどフィッティングの罠に陥っているのが実情。微妙なクラブの狂いがスコアメークに影響を及ぼしている。そんな悩みを数字で的確に〝発見する〟のがNAKASHIMA GOLF スタジオだ。通常なら、一本一本、取替え引っかえ試してみることになるが、NAKASHIMAGOLF スタジオでは、クラブヘッドとシャフトが別々に分かれ、ヘッドをそのままにシャフトだけを様々に付け替えたり、その逆、つまりシャフトを固定して色々なヘッドに取り替えたりが可能だという。これはオーナーのジョン・ナカシマ氏が長年の研究の末、ついに開発に漕ぎ付けたもので、すでに特許出願も行っている。腕に覚えのアスリートゴルファーでさえ陥りやすい「フィッティングの罠」なら、アベレージとなればなおさら深い溝にハマってしまって当然だ。そこで、一般的な〝月イチ〟ゴルファーのTさんが「100切り」を目指してNAKASHIMA式フィッティングにチャレンジしてみた。

 いわゆる〝月イチ・ゴルファー〟と呼ばれるプレーヤーの多くは、メーカーなどの謳い文句や仲間内の口コミに踊らされ、「このクラブは飛ぶ」「新発売のあのクラブは打ちやすくて、安定性もあり距離も出る」などと耳にすると、自らの力量も省みず、すぐさまショップに走り、簡単にブースで試し打ちした程度で「ン? これは良さそうだ…」とすぐに買ってしまう。そして、しばらく使っているうちに「キャッチフレーズとは違う」「自分には合わない…」などと思いはじめ、ついには落とし穴にはまって、大枚はたいて購入したクラブを使いこなせずに〝タンスの肥やし〟〝宝の持ち腐れ〟にしてしまうことが多い。

 そこで、自称「アベレージゴルファー」の女性ゴルファーTさんは〝持ち腐れ〟となっていたクラブから〝本来の機能〟を取り戻すべく、フィッティングにトライすることに決めた。

 訪ねたのは、サラリーマンの聖地、東京・新橋にある“NAKASHIMA GOLF”。 看板を見ながら店に入ると、そこは今流行のお洒落なカフェ。一瞬、「エッ? 間違えたかな?」と思っていると、奥から聞きなれた打球音が響いてきたではないか。カフェ従業員の「いらっしゃいませ~!」の言葉を聞き流しつつ、さらに歩を進め、音がする部屋のドアを開けると「あった、あった、ありました!」ネットが張られた立派な室内練習場が…。

 そして、Tさんは、早速、同社の取締役でもあり、USGTF(全米ゴルフ教師協会)のインストラクターでもあるフィッティングのプロ・堀口宜篤さんに協力を求め、ゴルフ上達の糸口を見つけたいとレッスンブースに上がっていった。

 Tさんはゴルフのキャリアは、およそ10年。157センチ(体重は未公開)の熟年女性ゴルファーで、ベストスコアは96。しかし、最近は仕事が忙しく、なかなかラウンド出来ないのが悩みの種。実戦から遠ざかっていたのが災いしたのか、スコアも急降下して、ここ数年は〝百獣の王・ライオン状態〟。つまり、常に「110」前後であえいでいる。主な悩みは「ドライバー・ショットが右に、右に…行ってしまい、当然、飛距離も落ちた」ことだそうだ。その辺りの悩みがフィッティングで解決できるのならば…と、実戦的な “カスタムメイド・ドライバー”の組み立てへの挑戦が始まった。

ヘッドスピード36m/sに希望の光

 6月某日、㈱アーティストゥリー・デザインが運営するNAKASHIMA GOLFスタジオを訪ねたTさん。早速、クラブ・フィッターの堀口宣篤さんに悩みを打ち明けた。中心は「ドライバーの飛距離が落ちた」「右に飛んでゆく」というもの。

 堀口さんは「これまでに蓄積してきた数学や物理学に基づく膨大な客観的なデータによって、①プレーヤーの現在のフォームを維持しつつ、最大限の効率を求める。②個々の体格、運動能力などの特性を見極め、さらなるレベルアップをサポートする―というのが軸」だと説明してくれた。分かりやすく言えば、個人が持つゴルフに関する能力を全て数字で表し、それを分析しながら修正点を探し、〝弱い部分〟を改善してくれるのだ。ここでは、フィッティングを受けてクラブを購入すれば、その後、2年間、再調整はもとより、レッスンプロによるアドバイスも無料で応じてくれるという。

 悩みを受けた堀口さんは、早速、ドライバーのスペックをチェックした。

 この作業は、個々にとって最適なクラブを作る上でとても大切。というのも、現在のクラブのスペックが今後の「物差し(基準)」になるからだ。

 クラブチェックをしている間、Tさんは準備運動も兼ねて重い練習器具で素振りなどを行った。しかし、わずか数分で早くも息が上がってきた。普段の運動不足が祟ったのか?トシのせいか…?。

 そんな状態ではあったが、まずまず、身体もほぐれ、全身が温まってきたので、ベクターと呼ばれる独自開発された測定器でのデータ収集が開始された。先ずは、反射板をドライバー・ヘッドに貼りつけ、いよいよ第1打!

 しかし、うまく当たらない。そして、数字やグラフで表された結果は、予想通り、いや、それ以上に思わしいものではなかった。ボールの「飛び」を決めるのは、「初速」「スピン量」「打ち出し角度」が3大要素。これらの数値を最適化することで「ナイスショット」が生み出されるという。

 しかし、結果は、「打ち出し角度10.3度」「スピン量は2894回転」「初速36・9m/s)」で、キャリーはなんと62.6ヤード。ランを含めたトータル飛距離でも73.8ヤードしか飛んでいなかった。「予想はしていたけど、これほど飛んでないとは…トホホ」とウエッジ並みの飛距離に、Tさんは落ち込んだ。

 「打ち出し角が低い。逆にスピン量は多い。それでもヘッドスピードが速いので期待はできます。弊社の測定機の設定は他社さんと比較しても厳しくなっていますが、Tさんのヘッドスピードは女性としては速い方です」と堀口さんは改善の余地(希望)を覗かせた。

 根拠は、ヘッドスピード。豊富な蓄積データによれば、Tさんくらいのスピードなら、運動効率さえ良ければ、トータル飛距離で233ヤードが得られるという。「えっ!223ヤードも飛んだら嬉しいな! ひょっとしてゴルフが変わるかも…」とTさんの表情が一気に輝いてきた。

 

 男女を問わず、ゴルファーなら誰しも気になるのがヘッドスピード。これが速いということは、ポテンシャル(潜在能力)はあるということ。ひょっとすると大変身するかも…。