◆米男子プロゴルフツアー 世界選手権シリーズ デル・マッチプレー第4日(25日、米テキサス州オースティンCC)
世界ランク60位の谷原秀人(38)=国際スポーツ振興協会=が、決勝トーナメント1回戦で同16位のポール・ケーシーを2アンド1、準々決勝で同53位のロス・フィッシャー(ともに英国)を4アンド2で破り、4強入り。大会後の世界ランクで50位以内が確実となり、4月6日開幕の今季海外メジャー初戦、マスターズ(ジョージア州オーガスタ)の出場権を獲得した。26日の最終日は、世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(米国)と準決勝で対戦する。
世界トップの強豪が集う大舞台で、10年ぶり2度目のマスターズへの道を切り開いた。谷原は1次リーグから格上相手に4勝1分け。日本勢が世界選手権シリーズのマッチプレー大会で準決勝に進むのは、01年に3位となった谷口徹以来だ。快進撃を続ける38歳は海外メディアに囲まれ「いいプレーができてうれしい。負けて当たり前と思ってリラックスしてできている」とほおを緩めた。「年始から海外(の試合)に行ったことが結果につながったのかな」と今年1月から5か国6試合を転戦し、手に入れた夢切符に胸を張った。
1回戦、準々決勝とも飛距離では約30ヤード後れを取った。「こんなところに1年間もいたら気がおかしくなる」と笑いながらも真骨頂の寄せとパットで対抗。通称「諦めの悪い男」は粘り強くパーを拾い、合計33ホールの長丁場を戦い抜いた。
1回戦は1番で残り約70ヤードのショットをベタピンにつけて先行し、パー3の7番ではバンカーから「OK」の距離に寄せてパーセーブ。ボギーとした相手との差を広げた。一進一退だったが最後は17番(パー3)で第1打をピン奥1メートルに運び、連続バーディーで決着。準々決勝は並んで迎えた6番から4ホールを連続で奪った。「相手のミスと僕のいいショットがうまくかみ合った」と日焼けした顔に白い歯をのぞかせた。
昨年末の世界ランクは55位。日本ツアーがオフの年明けから「最後まで諦めずにやりたい」と海外を転戦。移動や疲れもあり今月のメキシコ選手権では、扁桃(へんとう)の腫れや腹痛に苦しんだ。それでも不屈の広島男児は黙々とベストを尽くし続けた。「こんな例もあると若手に見せたかった」。日本人初となるマスターズ前週の50位以内という資格で夢舞台に滑り込んだ。世界ランク1位との準決勝に向け「どれくらい粘れるか自分を見たい」と谷原。マイペースに日本男子5人目の米ツアー制覇に挑む。
◆今年のマスターズ 日本勢は谷原のほか、昨年大会7位の松山が「前年大会12位以内」の資格で、池田は「前年12月末の世界ランク50位以内」の資格でともに出場確定。日本勢3人が同一大会に出場するのは石川遼、松山、池田、藤田寛之の4人が出場した11年大会以来。出場資格に世界ランク50位以内が加わったのは1999年。01年の伊澤利光は前年末、50位以内に入れず、翌2月の米ツアー、ニッサンオープンで2位に入るなど同48位で「4週前の世界ランク50位以内」(当時)の条件を満たして出場している。
◆谷原 秀人(たにはら・ひでと)1978年11月16日、広島・尾道市生まれ。38歳。12歳からゴルフを始め、瀬戸内高から東北福祉大を経て2001年にプロ転向。03年のマンダムルシードよみうりオープンで初優勝し、今季は日本プロなど自己最多3勝を挙げて、賞金ランク2位となるなどツアー通算14勝。12~14年平均パット1位。06年全英オープン5位。178センチ、80キロ。家族は妻と1男。