“数学女子”武尾咲希、頭脳プレーで風を攻略4差9位好発進


1番、ティーショット前にストレッチする武尾。初日を2アンダーの9位タイにつける(カメラ・竜田 卓)

 ◆女子プロゴルフツアー サイバーエージェントレディス第1日(28日、静岡・グランフィールズCC)

 プロ2年目の武尾咲希(22)=GOLF5=が4バーディー、2ボギーの70で回り、首位と4打差の9位と好発進した。15年夏のプロテスト合格まで、大学で数学の教員免許取得を目指していた文武両道の数学女子は、コースでも得意の計算力を生かした“頭脳プレー”で今季初めて1ケタ順位をマーク。ツアー初優勝へ突き進む。韓国の全美貞(34)=眞露=が6アンダーで首位。

 風速5・1メートルと比較的風が強い状況で、武尾の“計算力”が光った。10番から出て、14番から2メートル、4メートル、1メートル半につけ3連続バーディー。「風を読むのが得意で、計算して距離を合わせようとした」。難しいグリーン対策で上りのパットを打てるようにショットを放ち、70で全ラウンドを通じて今季初めて1ケタ順位の9位発進。「ショットが大きい」と胸を張った。

 文武両道の数学女子だ。ジュニア時代からゴルフで忙しく「学校を休むことも多かった」ため、通信学習に取り組み、常に授業の半年先を学習していた。福島・会津学鳳高時代は全科目の評価点が5段階で「4・8」の秀才。公立の会津大に進むと「数学の教師になりたい」と教員免許取得を目指し、微分、積分、関数など難問と向き合う日々を送った。

 東北大会などで頭角を現していたゴルフでも、15年夏に3度目の挑戦でプロテストに合格。これを機に大学を中退し「ゴルフ一本でやっていく」と決意した。今オフには肩甲骨と股関節回りのトレーニングを強化し、効果が出始めている。

 昨年は7位、今季はスタジオアリス女子オープンでの14位が最高成績。普段は毎日1アンダーを目標に掲げるが「今週は頭の隅に優勝したいっていう目標があるんです」と笑った。初優勝への方程式は、すでに描かれているのかもしれない。(岩原 正幸)

 ◆武尾 咲希(たけお・さき)1994年10月7日、福島・会津若松市生まれ。22歳。両親のすすめで7歳からゴルフを始め、中学、高校時代に東北ジュニアを制する。2015年7月のプロテストに合格し、会津大を中退。得意クラブはドライバーで平均飛距離は約240ヤード。昨年、最高位は伊藤園レディスの7位で、賞金ランク57位。最終予選会で10位に入り、今季出場権を得る。157センチ、61キロ。

最新のカテゴリー記事