ウッズ、ギラギラ勝負師から2人の子供のために…取材歴20年の大泉英子さん


ウッズ(左)と親交が深い大泉英子氏(本人提供)

ウッズ(左)と親交が深い大泉英子氏(本人提供)

 米ツアー取材歴20年のゴルフライター・大泉英子さんが「ウッズの変化」をスポーツ報知に語った。

 「どん底だった2015年の衝撃」「2人の子供への思い」「パット復調の秘密」をテーマに、マスターズ優勝への軌跡を明かした。大泉さんは全米プロ(5月)、全米オープン(6月)のメジャー連勝にも期待を寄せた。

 ウッズが背中の手術を受けた翌年、15年2月の大会(予選落ち)は衝撃的でした。練習日からメディアや選手が注目する中、現れたのはまるで別人。アマチュアのようにショットが曲がり、スイングもおかしかった。

 プロアマ戦でも180ヤードのパー3でグリーンに乗らず、アプローチも奥に行きパーも取れない。ジュニア時代からの盟友、パット・ペレス(米国)から「昔のお前はこんなんじゃなかっただろ」と心配される姿を目にしましたが、いろんな人に教えられても感覚が戻らない。プライドの高い選手なので、精神的につらかったと思うんですよね。

 あれから2年が過ぎ、11年ぶりのメジャー制覇をエリン元夫人との間に生まれた2人の子供が祝福しました。昔はギラギラして「勝つためにしか試合には来ない」と言い放っていましたが、近年は会見で「庭で一緒にサッカーをしている」など父親としての一面を見せるなど変わってきました。「子供に“ユーチューブゴルファー”(映像の中だけの選手)と思われている」と語ったことも。やっとプロゴルファーとして勝つ姿を見せられたと万感の思いではないでしょうか。

 マスターズではパットが絶好調でした。今季はこれまで平均パット数(1・772)132位と振るわない中、3月にジャスティン・トーマス(米国)のパッティングコーチ、マット・キレン氏から付きっきりで指導を受けました。16年の欧米チーム対抗戦・ライダーカップでトーマスと親交が深まったのが縁だそうです。以前は先輩プロとの付き合いが多かったのですが、若手とも練習ラウンドするなど柔軟性が出てきたと感じます。クラブを替えないタイプですが、軽めのシャフトにしたり、臨機応変に環境に合わせようとしています。

 5月の全米プロ、6月の全米OPの会場(ベスページブラックC、ペブルビーチGL)は、過去にもメジャーを制した舞台(00、02年全米OP)。経験、実績、調子でも分がいいと思うので期待したい。今年中にニクラウスが持つメジャー18勝の最多優勝に近づけるのか、非常に楽しみですね。

 ◆大泉 英子(おおいずみ・えいこ)早大卒業後、1993年にゴルフ誌『アルバ』に入社。主に国内男子ツアー担当。97年に『ゴルフトゥデイ』に入社。18年3月の退社まで約4年、編集長を務める。00年、連載を担当していた丸山茂樹の米男子ツアー本格参戦を機に、米ツアーを毎月取材。以来、海外選手の取材も行い選手との親交も厚い。男女、シニアの海外メジャー取材は計100試合超。海外取材担当記者・編集者として現在も活動中。全米ゴルフ記者協会会員。

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