渋野日向子、怒り&やけ食いで“全英チャージ”逆転賞金女王へ3差3位発進「いいスタート」


6番、ティーショットを放って笑顔の渋野日向子。2アンダー3位タイの好位置発進となり逆転賞金女王を目指す(カメラ・石田 順平)

6番、ティーショットを放って笑顔の渋野日向子。2アンダー3位タイの好位置発進となり逆転賞金女王を目指す(カメラ・石田 順平)

 ◆女子プロゴルフツアーメジャー最終戦 LPGAツアー選手権リコー杯第1日(28日、宮崎CC=6535ヤード、パー72)

 賞金ランク3位から逆転賞金女王を狙う渋野日向子(21)=RSK山陽放送=が、70の2アンダーで首位と3打差の3位タイと好発進した。9番で優勝した8月のAIG全英女子オープン以来、日本ツアーでは自身初の4パットも、11番で8月以来のイーグルが飛び出し、全英同様に後半で巻き返した。女王を争う同1位・鈴木愛(25)=セールスフォース=は5打差10位タイ、同2位・申ジエ(31)=韓国=は8打差26位タイと出遅れ。17年覇者のテレサ・ルー(32)=台湾=が67の5アンダーで単独首位。

 渋野が怒りと“もぐもぐ”を後半のチャージに変えた。9番で4パットし、1オーバーで折り返すと「やけ食い」とばかりにリンゴとちくわを頬張った。すると17位で迎えた11番パー5。残り202ヤードから第2打を4ユーティリティーで2オン。右1メートル半からのイーグルパットを沈め、しぶこスマイルがこぼれた。8月のニトリレディス第2Rの13番以来、今季6つ目のイーグルで「お久しぶりです。あれだけ寄ると気持ち良かった」。16番はバーディーで後半3つ伸ばし「いいスタートを切れた」とうなずいた。

 劇的Vへ“吉兆”があった。前半9番は2オンに成功したが、パットは2メートルも「大ショート」。4打目は1メートル半オーバー、5打目も外して、今季平均パット数1位の名手がまさかの4パット。この日2番目に易しいホールでの痛恨ボギーで「なっさけない。悲しかったな~」と下を向いた。ただ、4パットは優勝した全英最終Rの前半3番以来で「すぐに思い出した」。悪夢の4パットは“しぶこ劇場”の幕開けを予感させた。

 27日は疲労もあり、早めに練習を切り上げて悪天候予報の大一番に備えた。宮崎市内の有名店「フルーツ大野」で名産・マンゴーなど果物が盛られたパフェを平らげてパワーも注入。午後10時前に就寝した。準備万端と思ったが、朝起きると、首の左側を寝違えるアクシデントが発生。スイングに影響が出る右側ではなく「大丈夫です」と語ったが、ヒヤリとした初日だった。一方で気温13・9度の寒さにも、背中にカイロを1枚貼り、長袖シャツ1枚でプレー。「暑がりなんで」とあっけらかんと話すなど、らしさも全開だった。

 賞金女王を争う、ランク1位・鈴木が10位タイ、同2位の申ジエが26位タイと出遅れ、ライバルを上回る好発進。優勝して鈴木が2位タイ以下となれば初の女王に輝き、国内メジャー2勝も合わせて7年シードも手にする。「きょう頑張った分、あと3日は伸び伸びと悔いのないようにやりたい」。大きな期待を背負いながらの初戴冠へ、自然体で戦い抜く。(宮下 京香)

 ◆渋野の全英での後半巻き返し 2打差首位から出た最終日の3番、15メートルから4パットのダブルボギー。ブハイ(南ア)に抜かれ、2位に後退した。サラス(米国)、高真栄(韓国)に次ぐ1打差3位で折り返した後半、5バーディーを量産し68で、サラスを1打振り切り優勝した。4日間で後半だけで全18アンダーを稼ぎ出した。第2日は1つしか伸ばせなかったが、初日、第3日はそれぞれ6アンダー。優勝した前週の大王製紙エリエールレディスでも第3日、最終日の後半にスコアを3つずつ伸ばした。

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