松山英樹、震災は「今も復興していない所もあり、忘れてはいけない」


震災後の11年4月、マスターズ最終日の18番でガッツポーズした松山英樹

震災後の11年4月、マスターズ最終日の18番でガッツポーズした松山英樹

 米男子プロゴルフツアーのプレーヤーズ選手権は12日から4日間、米フロリダ州TPCソーグラスで開かれる。日本勢唯一出場の松山英樹(28)=LEXUS=は10日、1番から9ホールの練習ラウンドを行った。11年3月11日の東日本大震災時に宮城・仙台市の東北福祉大に通っていた日本のエースは「応援してくれる人が元気になれば」と、“第5のメジャー”と呼ばれる世界最高の高額賞金大会で、17年8月以来のツアー6勝目を目指すことを誓った。

 主戦場の米国で松山は9度目の“特別な日”を迎えた。10日の練習後、東日本大震災について「早いですね。9年もたっちゃいましたね。米ツアー選手になっていると思ってもいなかった」と当時を振り返った。愛媛県出身だが東北への思いは強く「今も復興していない所もあり、忘れてはいけない。いい成績を出して、そういう所にいる人たちが元気になれば」と“第2の故郷”のためプレーすることを誓った。

 震災当日。大学生アマチュアは翌月のメジャー、マスターズ初出場を控え、豪州合宿中だった。仙台に戻って惨状を目にし、悩んだ末にマスターズ出場。海外メディアにも注目され「国難の中で出場が許されるのか、心が揺れている」と話した。27位となって日本人初のベストアマを獲得して帰国後、宮城県内でボランティア活動にも参加した。

 プロ転向した13年から“イーグル・バーディー基金”(日米両ツアーの1バーディーで1万円、1イーグルで2万円を積み立て)を始め毎年、復興支援のために寄付。16年からは、プロ野球・楽天の本拠地のネット裏指定2席を年間契約。“松山シート”に被災児童らを毎試合招待もしている。

 今大会は今年から優勝賞金270万ドル(約2億8350万円)と増額され、ツアー史上最高額となり注目度が高い。新型コロナウイルスが世界的に暗い影を落とすが「ツアー選手でいる以上、普通に生活して試合がなくならないことを祈るだけ。試合で頑張って、応援してくれる人が元気になれば一番いい」。バーディーを量産し、日本や被災地に明るいニュースを届ける。

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