◆男子プロゴルフツアージャパンプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品最終日(9日、栃木・西那須野CC=7036ヤード、パー72)
4打差9位から出たプロ4戦目の片岡尚之(23)=フリー=が6バーディー、2ボギーの68で回り、通算15アンダーでツアー初優勝を飾った。サッカー元日本代表DF内田篤人氏似のイケメンが、国内男子ツアー史上初のキャディーなしセルフプレーV&日本人3番目のスピードVの快挙を成し遂げた。1打差の2位は宮本勝昌(48)=ハートンホテル=ら5人。石川遼(29)=カシオ=は2打差7位に終わった。
ひとりで風と芝目を読み、残り距離を計算する。そして、キャディーバッグを自ら運ぶ。セルフプレーで戦った片岡は、通算15アンダーでホールアウトした。その時点で片岡を含め5人が首位に並んでいたが、後続が次々とスコアを落とした。「プレーオフに備えて練習しようと思ったけど、体がフワフワして集中できなかったので(後続組の)プレーを見ていました」。その判断も当然、ひとりで下した。最終組の宮本がパーパットを外した瞬間、プロ4戦目で初優勝が決まった。
「何が起こったのか、分からなかった」。日本人として松山英樹、金谷拓実に次ぐツアー3番目のスピード優勝に初々しく話した。
コロナ対策として昨年からツアーが認めているセルフプレーによる初の優勝者。競技中唯一の味方となるキャディーがいない中、コース戦略と精神力を持つことを証明した。プロキャディーの報酬は賞金の10%が相場。今大会前までの獲得賞金が約168万円だけだった片岡にとって経済的なメリットも大きかった。
惜敗した宮本は、片岡について「ツアー一のイケメン」と評する。片岡は「褒めすぎです」と恐縮しながらも「(内田篤人氏に)似ていると言われることはあります」とはにかんだ。
記念すべき日は母の日に重なった。「母(美架さん)は小学生の時、いつも練習の送り迎えをしてくれた。感謝してもしきれない」と23歳は照れることなく爽やかに感謝の言葉を口にした。
選手会主催の新大会で日本男子待望のニューヒーローが誕生した。(竹内 達朗)
◆片岡 尚之(かたおか・なおゆき)1997年12月28日、北海道・江別市生まれ。2歳からゴルフを始める。札幌光星高2年時の2014年北海道アマを最年少記録で優勝。同年は日本ジュニアで北海道の選手として初優勝、日本アマでもベスト8に進出。16年に東北福祉大に進学。4年時の19年にプロ宣言。今大会前までのツアー最高成績は27位。171センチ、67キロ。