◆男子プロゴルフツアー フジサンケイクラシック 第2日(3日、山梨・富士桜CC=7566ヤード、パー71)
第1ラウンド(R)の残りに続き行われた第2Rは、サスペンデッドとなり3人がホールアウトできなかった。31位から出た大槻智春(31)=真清創設=はスタート時間を勘違いして、遅刻により1番で2罰打を科されながら、7バーディー、2ボギーの66をマーク。5アンダーで暫定首位に浮上した。13位で出た石川遼(29)=カシオ=は68で、11年ぶり大会制覇へ首位に並んだ。
午後0時10分にスタート予定だった大槻は、まさかの出来事に顔面が真っ青になった。「自分のミスです。12時40分だと思ってて、あと30分あるなあって…。1時間前には到着していたんですが」。同組のビンセントに呼ばれてパッティンググリーンから、あわてて走って1番ホールへ向かった。「何分経過していたのか、自分でも分かっていなかった」。5分以内の遅刻で1番ホールに2罰打が科された。ゴルフ規則で定める、5分を過ぎていれば失格という事態は免れた。
ドタバタ劇にも、1番で左ラフから5メートルに運び、チャンスを沈めた。幻の“バーディー発進”で、2罰打が加わりボギーで切り抜けると、3番から17番までに怒とうの7バーディーを重ね、66をマーク。「そもそも2ペナ(ルティー)はない方がいいですし、それでやる気が出たというのはないですけど」と苦笑したが、「うまく(気持ちを)処理するしかない」と切り替えた。遅刻がなければ、7アンダーで2打差の単独トップだったが、石川らと並び暫定首位で決勝ラウンドに進んだ。
日本ゴルフツアー機構関係者によると、選手がスタート時間に遅刻することは「年に1、2回あるかどうか」だという。今年は5月のミズノオープンで通算5勝のノリス(南アフリカ)が初日に遅刻し、開始の10番で2罰打を科された。
8キロの減量に成功したという大槻はスタート時の心境を「気持ち的にげっそりです」と振り返った。今季トップ10が全選手で最多の10回あり、2週前から3位、4位と好調だ。この日も雨の難コースでミスを取り返すバーディーラッシュに、「ショットのタイミングが合ってきている」と手応え。「まだ2日目なので優勝は(意識しない)」と控えめだが、19年関西オープン以来の2勝目へ、悔いのない戦いを続ける。(岩原 正幸)
◆ゴルフ規則5―3a 選手は自分のスタート時間にプレーを開始しなければならない(早くスタートしてもいけない)と定められており、違反すれば失格となる。例外として、スタート時間が5分未満で前後した場合に、2罰打を受ける。今回、大槻の遅刻はこれに該当する。
◆主な男子プロの遅刻による罰打
▼09年1月 米男子ツアーのソニーオープン第1日で矢野東が、約10秒間の遅刻で2打罰を受けた。1番のスタート直前に関係者から「2つ前の組がスタートした」と聞いてトイレへ。実際は1つ前の組で、ティーグラウンドでの選手紹介に間に合わなかった。
▼17年10月 世界選手権シリーズのHSBCチャンピオンズ第3日(中国・上海)で、今平周吾がスタート時間午前10時35分を日本時間(時差1時間)と勘違い。10時頃にコースには到着していたが、スタート時間に遅れて失格となった。
▼17年11月 ダンロップフェニックス第3日で宮本勝昌が、遅刻とクラブ超過で4罰打を受けた。午前11時40分のスタート時間を勘違いしてコース内で練習。運営スタッフに呼ばれてティーグラウンドに慌てて立ったが、規定よりも1本多い15本のクラブがバッグに入っており、出だしのホールでそれぞれ2罰打が加算された。