日本シリーズJTカップ2年ぶり有観客開催 木下稜介賞金王へ「選手は力を発揮できる」


20年大会を制したチャン・キム

20年大会を制したチャン・キム

 国内男子プロゴルフツアー今季最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月2~5日・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)が2年ぶりの有観客で開催されることが8日、発表された。コロナ対策のため一般のチケット販売は各日2000枚まで。賞金総額1億3000万円で優勝賞金4000万円。賞金王争いは、残り4戦で約1300万円差に5人がひしめく大混戦。21年のツアー各大会優勝者ら30選手が出場予定で賞金ランク1位の木下稜介(30)=ハートランド=は有観客の中での初戴冠の瞬間を待望した。

 王者の中の王者を決める舞台に、2年ぶりに温かい拍手が戻ってくる。コロナ禍で大会初の無観客開催となった20年大会。静寂の中、1打差に4人がひしめいた最終日を勝ち抜いたチャン・キム(31)=米国=は「今年も絶対に勝ちたい。連覇を成し遂げたい。賞金王を取りたいと思っています」と大会6人目の連覇での初の賞金王取りに照準を定めた。

 コロナの影響で20―21年統合となった異例の長期シーズンの最終戦。例年は、多くの観客が集う男女通じて唯一の東京開催のメジャーだ。精度の高いショットを武器に、今年2勝と大ブレイクした賞金ランク首位で2年連続出場の木下稜は「有観客の方が選手は力を発揮できるし、JTで優勝を決められれば本当に幸せ。賞金王を取れる位置でJTを迎えることが大事」と有観客開催に感謝した。

 24年パリ五輪も見据え、今大会から新たな出場資格も加わった。日本ゴルフツアー機構と大会主催者は6月から協議し「夏季五輪でゴルフへの注目度を高めた」などと、8月の東京五輪日本代表に出場権を付与することを決めた。ただし、米ツアーを主戦場とするマスターズ王者の松山英樹(29)=LEXUS=は米国滞在中。日程が重なるタイガー・ウッズ(米国)が主催のツアー外競技(12月2~5日・バハマ)への出場を検討している。

 今大会会場内では「日本国内プロゴルフトーナメントにおける新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」に従い、検温やマスク着用など感染予防対策を求める。昨年に続き、開会式は行わない。徹底したコロナ対策の中となるが、選手にとって観客の存在は大きな励みとなる。賞金ランク3位の星野陸也(25)=興和=は「最後、ギャラリーの皆さんの前で賞金王が決まるのは、うれしさも全然違う。盛り上げたいですね」と意気込む。観客の熱い視線の先で、今季の主役が決まる。(榎本 友一)

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