プロゴルファーでも陥る、“パットの恐怖心”を克服する 日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯(5月14日~17日)


Copyright(C) PGA

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 今年最初のメジャー大会を制したのは、オーストラリア出身のアダム・ブランド選手でした。最終日まで落ち着いたプレーを見せていたアダム・ブランド選手ですが、実はコースに出たくないほど悩んでいた時期があると言います。

 その悩みとはパット。短いパットが入らず、専門のドクターと相談しながらメンタル強化をしながらプレーを続けてきたそうです。

 LPGAで偉大な成績を残したアニカ・ソレンスタム選手の帽子のつばにも、このように書かれていました。

「Face to fear(恐怖に向き合う)」

 パットの恐怖心はプロでも持っているもの。 パターは距離感と方向性という動作と、何よりもメンタル面の戦いです。

1.パットの恐怖とは?  2.いかにその恐怖を克服するか

今回のコラムでは、上記2点を考えていきましょう。

1.パットの恐怖とは? 様々な場面が考えられます。

  • 絶対はずしてはいけない、緊張が高まった状態のショートパット。
  • 一度目を外し、二度目も外し、・・・何度も外し、自信を失い、恐怖心に怯えながらストロークして外れる場合。
  • 過緊張から鼓動が高まり、手先がしびれ、フェース面が波打ち、ストロークがスムーズに行えず、カップにボールが届く前に、カップからボールが逸れて行く場合。
  • 正確にストロークするために、目はボールやフェースを凝視すればするほど緊張状態となり、インパクトがスムーズに行えなくなる場合。
  • 直前のストロークのミス、右への押し出しや、左へのヒッカケを記憶してしまい、次打がこれを回避しようと、あらぬ動きを行ってしまう場合。
  • 入らない結果しかイメージできず、打つ事さえも諦めたくなる心理状態の場合。
  • しっかり打とうと思っても打ちきれず、やさしく打とうと思っても強くヒットしてしまう、どういった球が出るか分からない、コントロールを失った状態の場合。
  • 勝ちたい! 入れたい! 絶対に決める!と思うが、感情が入れば入るほど、入らない結果に苛立ち、さらに硬くなりスムーズに動けなくなるという悪循環に陥る場合。

 これらが、スコアの要、生命線であるゴルファーのパッテイングにおいて、陥りやすい恐怖と言えます。

2.いかにその恐怖を克服するか

「入らなくても、気にするな」「結果は過程が正しければ、必ずついてくる」

 このような考えで解消できるほど、容易ではありません。パットの恐怖は回避することはできず、向き合うことしか方法はありません。

「Face to fear(恐怖に向き合う)」

つまり、苦手な状態と向き合い、課題を一つ一つ解消していきます。

コーチを伴いながら行う膨大な練習量とともに、

  • 技術的な問題(押し出す、ひっかけるは、パターの形状や長さ、重さでも対応)
  • メンタル的な問題(目の前の1打は、大切な1打でもあるが、生涯打ち続けるパットの中の1打に過ぎない、過緊張を取り除く考え方)
  • 手先にしびれ等の肉体的、身体的問題(呼吸法や、感覚を鈍化させる太いグリップ、グリップ方法のアレンジ、インパクトを感じさせないクラブやグリップによる克服)等が考えられます。

 パターの恐怖心は、一見非常に大変な問題でかわいそうに映りますが、ゴルフという旅に出たプレーヤーは長いゴルフ人生の中で多くの良い状態と難しい状態を経験することでしょう。それを乗り越えてゆくこと、それ自体がゴルフなのです。

 パターに悩んでいる人の多くは、以前パターが上手な人だったことも興味深いです。

 今回もご覧下さいまして、ありがとうございます。

 また、次回!

kogure

◆小暮博則(こぐれ・ひろのり)
1972年11月27日生まれ。埼玉県出身。明治大学商学部商学科卒業。JGTO(日本ゴルフツアー機構)プロ。PGAティーチングプロ。2003年 JGTO ファイナルQT進出。2013年から東京慈恵会医科大学ゴルフ部コーチに就任している。就任後、同大学は2013年度全日本医科大学ゴルフ連盟秋季大会個人優勝、2014年度全日本医科大学ゴルフ連盟春季大会団体優勝を果たす。PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都)と小手指(埼玉県)にて展開している。 著書に『一生ブレないスイング理論 “左重心スイング理論”でゴルフの常識が変わる』(カンゼン)がある。

PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)ゴルフスクール
http://pfga.co.jp/

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