石川遼 首位スタートもアクシデントに沈む-PGAツアー 「クラウンプラザ招待・アット・コロニアル」 武藤のコラム


 第1ラウンド6アンダーの首位スタートと今季初めて存在感を見せた石川だったが、第2ラウンドに思いもしないトラブルで後退した。米ツアー「クラウンプラザ招待コロニアル」はテキサス州フォートワースの名門コロニアルCC(7204ヤード、パー70)で行われ、第1日6アンダー64と首位に立った石川だったが、第2日最終ホールでトリプルボギーの7をたたき初日より10打も多い74、通算2アンダーの25位と後退した。

 18番ティーショットを右の林、フェアウエーに出した後の3打目はショートアイアンでグリーンに落としながら傾斜で左へこぼした。左は池で、球は深いラフに助けられ止まったのはラッキー。だが、続く4打目は強くたたくしかなくオーバー、ようやく5打でグリーンに乗せ2パットの7は痛かった。

 米本格参戦の今季は優勝を目標に果敢な攻めのゴルフに挑戦する石川だが、攻め優先のドライバーショットが不安定だとグリーンオン率も下がりスコアが伸びない。アプローチ、特にパットは驚くほど長いのを入れるし、ショットさえかみ合えば、と期待がつのる。しかし、ラウンドの流れにのり、かみ合わせが良くなれば、と願うのはだれも同じ。そしてこの目に見えない要素こそが、ゴルフの難しさだ。出れば打たれ、ひるめば試練が、かさにかかって攻めてくる。順風に乗った松山との格差を恨んでもおかしくない石川の状況だが、ここは我慢のしどころ、というしかない。

 テキサスのフォートワースのコロニアルといえば、あのベン・ホーガンのふるさと。1946年の第1回大会から7030ヤード前後のヤーデージ、パー設定70が伝統だ。第1回から2連勝したホーガンはこの大会で5勝をあげた。小さなグリーンと大きな木。距離はないが、タフなコースとして知られる。

 女子ツアーの女王、アニカ・ソレンスタムがかつて男子ツアーに挑んだとき、選んだのがこのコース。「女子のパワーと技術でも戦略と意欲で男子と戦える公平なコース」というのが、アニカがこのコースで冒険を決めた理由だった。

 石川が初日64で首位に立ったときホーガンの庭で、もし勝てたら本望だろうな、ふとそんな幻想を描いた。夢は2日目の18番で砕け散ったが、石川にはいい夢を見せてもらった。大会は30歳のクリス・カーク(米)がマスターズチャンピオンのジョーダン・スピースらとの激戦を制しツアー4勝目。石川は2アンダー43位、首位から10打遅れの43位だった。

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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