松山全米プロいけるぞ 武藤一彦のコラム


 今季メジャー第2戦の全米プロに向け松山英樹(30)が好仕上がりを見せた。PGA男子ツアー、AT&バイロン・ネルソンクラシックはテキサス州・クレイグランチコース(7468ヤード、パー72)で16日の最終日、18位から出た松山は1イーグル、9バーディー、1ボギーの10アンダー62の好スコアをマーク,通算24アンダー、首位と2打差の3位に食い込んだ。

 

 5番から3,4メートルのパットをしっかり入れる4連続バーディーで乗った。14番パー4をワンオン、2パット、15番パー3は1メートルにつけバーディー。16番でグリーン左からの寄せを5メートルもショート、唯一のボギーを叩いたが、最終18番パー5,残り230ヤードを5ウッドで1メートルにつけイーグル。24アンダーの首位でホールアウト、完璧な最終日の追い上げは力強かった。

 

 大会は2001年、丸山茂樹が米ツアー自己2勝目を上げた日本にとっては良い思い出の大会。日本勢初の大会2人目の優勝か、と期待を持たせる中、2連覇を目指す韓国のイ・キョンフンのしぶとい粘りの前に連覇を許し、地元テキサス、期待の星、ジョーダン・スピースに1打差の3位だったが、健闘だった。次週の全米プロには大きな弾みとなった。

 

 4月のマスターズ後、5週間ぶりの実戦を上々の内容で乗り切った。「いいスイングができていればいいボールが打てることが分かった。パットは、今日は外してないけれど、もうちょっとスムースになれば、もっといいかなという感じ。ティーショットは細かいところで修正しなければならないが、それが出来れば、ね」相変わらずの完全主義者だったが、好結果に表情は緩んで見えた。珍しいことだ。次週は?と向けられた全米プロへの質問にもよどみなく対応。「コースが違うし早く対応できるように(現地に行って)準備、細かいところを詰めていかないといけないと思っている」ときっぱり。松山の口から全米プロという言葉は発せられなかったが、この本人のコメントの冒頭に“全米プロに優勝するには”と入れると、“前向きな優勝争い宣言の心の内が見えて来る”と思うのだが、どうだろうか。

 

 全米プロはプロ世界一を決めるこだわりの大会。難コースに手を加えこれでもか、と選手を攻め立ててストイック。攻略パターンの読み比べも大事な要素となる。そんな大会だが、松山にとっての全米プロは2019年、初出場で19位に入って以来、一度も予選落ちなしの得意大会。16、17年には4,5位を占め相性の良さでは、マスターズを上回る。仕上げ良ければ結果はついてくる。楽しみにしている。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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