松山 ハワイアンオープン39年ぶり歓喜の優勝 武藤一彦のコラム


 PGAツアー今季11戦目のハワイアンオープンは16日、ハワイ・ワイアラエCC(パー70)で最終日を行い、マスターズチャンピオンの松山英樹がプレーオフの末、逆転優勝ち、1983年の青木功以来2勝目、ツアー通算8勝目を上げた。首位ラッセル・ヘンリー(米)を追って2打差2位スタートの松山は前半を終わって5打差と苦戦したが、インで急追、18番パー5、5つ目のバーディーで追いつく7アンダー63、通算23アンダー。同じホールを使ったプレーオフの1ホール目、80センチにつけるイーグルで逆転勝ちした。小平智は5アンダー65、通算15アンダーの12位、アマの中島啓太は67、通算1アンダーの41位と健闘した。

 

 ワイアラエの最終18番ホールは松山のワンマンショーとなった。1打リードされた18番、ドライバーショットを残り177ヤードまで飛ばし2オンに成功、手堅くバーディー。逃げるヘンリーはティーショットを右バンカーに入れ3オンのパーでプレーオフにもつれ込んだ。
 同じ18番パー5で行われたプレーオフ。ヘンリーに勢いはなく同じバンカーに打ちこむと松山は手にしたドライバーをスプーンに代え、フェアウエーキープ、セカンドは5ウッドで80センチにつけるスーパーショット。ヘンリーのアプローチは寄らず入らずのダブルボギー。松山は80センチのイーグルパットを慎重に、米ツアー8勝目を決めた。

 

 1983年、青木が118ヤードを一発で放り込む奇跡の優勝の舞台となったハワイアンオープンは39年後、マスターズチャンピオン松山の成長、進化をまざまざと見せた大会となった。
 ツアー4勝のヘンリーに対し松山はすべて上回って落ち着いていた。「前半はチャンスを逃す中、相手が4連続バーディー。ここは我慢しかないと決めた。10,11番とバーディーが来たのが大きかったかな、11番では相手がボギー。5打差が2打差。15番で5メートルのバーディーパットが入って1打差、我慢できた。あれが大きかった」22年シーズンは日本開催の米ツアー ZOZOチャンピオンシップ(千葉・習志野CC)に次いで早くも2勝目だ。ハワイは苦手コースで、これまでいいところが全くなかったが、パーオンした後、1パットで沈める、ストローク・ゲインパット率はZOZO優勝以来トップ。順調に増える優勝回数に伴いグリーン上の不安もどんどん解消している。次週からツアーは米西海岸へ。充実した9年目のシーズンがますます、楽しみになってきた。

 

武藤 一彦(むとう・かずひこ)
ゴルフジャーナリスト。コラムニスト、テレビ解説者。報知新聞には1964年入社、運動部に所属、東京オリンピックはじめボクシング、ゴルフ、陸上担当。編集委員、専属評論家も務めた、入社以来50年、原稿掲載の”記録”を現在、更新中。
日本ゴルフ協会広報参与、日本プロゴルフ協会理事を経て日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員、日本ゴルフ振興協会広報メディア委員、夏泊ゴルフリンクス理事を務める。

ゴルフは4メジャーのほか、ワールドカップなど取材、全英オープンは1975年から取材し日本人記者のパイオニア的存在。青木功のハワイアンオープン優勝にも立ち会った。1939年生まれ。東京都出身、立大出。

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