岩田寛が2差2位浮上…チャック全開も閉めるとイライラ全快「考えて打てるようになった」


岩田寛

岩田寛

◆男子プロゴルフツアー フジサンケイクラシック 第3日(3日、山梨・富士桜CC=7541ヤード、パー71)

 日没順延となっていた第2ラウンド(R)の残りと第3Rを行い、岩田寛(41)=フリー=が通算9アンダーで2差2位に浮上した。3差3位で出ると第3Rは1イーグル、5バーディー、3ボギー、67の猛チャージ。ツアー初優勝を飾った14年大会と同じ最終日2打差逆転で、2週ぶりの通算5勝目に挑む。19年大会覇者の朴相賢(パク・サンヒョン、39)=韓国=が、11アンダーの単独首位で通算3勝目に王手をかけた。

 プロ19年目で「初めて」の“珍事”が、後半の猛チャージの引き金となった。岩田は10番でパーパットを沈めた後、新岡隆三郎キャディー(49)から指摘を受けた。「チャック開いてるよ」。想定外のミスにシャイな男は凍り付いた。午前6時45分から第2Rの残り3ホールを回ると第3Rは、最終組で大勢のテレビクルーに追われる中でプレーしていた。

 「すっごい恥ずかしくて。ラウンド中はトイレに行ってないし、いつから開いていたのか…。早く言ってよ、とキャディーには言いました。グリーンでしゃがんだところとかが、テレビに映っていてほしくないですね」

 慌てて閉めると、プレーのミスでたまっていた怒りが不思議と消えた。「ゴルフがうまくいかなくて、今年一番くらいイライラしていたのが止まりました。落ち着いて考えて打てるようになった」。前半1つスコアを落とし、首位の朴とは5打差まで開いた。だが、11番から怒とうの猛追劇を演じた。11、12番と連続バーディー。15番パー5は残り289ヤードから3ウッドでピン上3メートルに2オン。イーグルを奪い、16番もグリーン脇からウェッジでチップインバーディー。2打差で終えると「チャックを修正したのが良かったですね」と、真顔でボソッとつぶやいた。

 米ツアー本格参戦経験も持つ日本ツアー屈指のショットメーカーだ。2週前に今季初優勝。好調を維持して最終日最終組で朴を追う。「相賢はすごい安定している。バーディーをいっぱい取るしかない」。逆転Vへエンジン全開を誓いつつ「チャックは閉めていきますよ」と付け加えて報道陣を爆笑に包んだ。

 現在、賞金ランク6位で、同上位での10月の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップ(千葉)出場権獲得を次なる目標に掲げている41歳。“社会の窓”はしっかりと閉め、世界への扉をこじ開ける。(榎本 友一)

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