◆女子プロゴルフツアー フジサンケイレディス第1日(21日、静岡・川奈ホテルGC富士C=6457ヤード、パー71)
ツアー通算23勝の横峯さくら(37)=エプソン=が4バーディー、3ボギーの70で回り、今季自己最高の11位でスタートした。前日(20日)、幼少時にかわいがってもらっていた祖母の横峯ハツエさんが老衰のため97歳で死去。別れの悲しみと楽しかった思い出を胸にプレーを続ける。後藤未有(22)=大東建託=と仁井優花(20)=エレコム=が4アンダーの67で回り、首位に立った。
難関18番パー4で横峯が魂のショットを放った。残り157ヤードの第2打を7アイアンでピン50センチにピタリ。かつてキャディーを務めた父・良郎さん(63)が「さくらの一番の苦手ホール」と証言する18番でバーディーを奪い、首位と3差11位で初日を終えた。「最後に1アンダーになって良かった」と横峯は会心の一打を静かに振り返った。
大会前日、出身地の鹿児島から訃報が届いた。良郎さんの母・ハツエさんが志布志市内で亡くなり21日、家族葬が営まれた。良郎さんと母・絹子さん(66)の進言で帰郷せずに試合出場を選択。先週、施設を訪れ、お見舞いしたのが最後の別れとなった。
ツアー23勝を誇るが16年以降、賞金シードを手放し、今季3試合目。予選落ち、42位と苦戦が続くが、この日は今季最高のスタートを切った。幼少時、仕事で忙しい両親に代わって面倒を見てくれたハツエさんへの感謝の気持ちを胸に18ホールをプレーした。
22日はキャディーを務める森川陽太郎さん(42)と9回目の結婚記念日。人生の節目が重なった。「明日(22日)は風が強い予報なので耐えるゴルフをしたい。いい一日にしたいですね」と37歳のママは柔らかな表情で話した。喜びも悲しみも、すべてを受け入れて戦う。(竹内 達朗)