
日本シリーズに若さで挑む蝉川泰果
2023年シーズンの国内男子プロゴルフツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップは30日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7023ヤード、パー70)で開かれる。今年のツアー優勝者をはじめ、賞金ランク上位者ら総勢30人が出場。出場予定の9選手を連載で紹介する。第3回は蝉川泰果(22)=フリー=。
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国内男女ツアー初のアマチュア2勝を成し遂げた蝉川は、昨秋にプロ転向した。6戦目となった今年4月の関西オープン。単独首位で迎えた最終日で「他の選手が伸ばしても焦らず、自分のゴルフに徹せた」と明かした。300ヤード超えの飛距離を生かした攻撃的なゴルフの中で際立った冷静さ。その陰には自ら依頼し、同大会で初タッグを組んだ清水重憲キャディー(49)の存在があった。
「日本一のキャディー。ユーチューブも見て、担いでもらいたいと思った」。第2ラウンドの6番パー3。アプローチをミスし、残った2メートル半のパーパットをねじ込んだ時だった。「ナイスパー!」と清水キャディーの声が響いた。「乗せてくれるような声かけも、力強く思い切ってシンプルなプレーできた要因」。4打差をつける堂々のプロ初Vでうれし泣きした。
初めて戦うフルシーズンで連戦の過酷さに直面した。「ミスを許せなくなって、張り詰めすぎていた」。連覇を狙った10月の日本オープンでは36位に終わった。重圧で腹部にじんましんができた。「試合が終わると(症状が)引いてきた。結果が出ないとやっぱりしんどい」
日本一に輝いた阪神ファンなだけに、ゴルフの日本シリーズでも「勝ちたい気持ちが強い」と続くつもりだ。“和製タイガー”といわれる蝉川は、81年の羽川豊が23歳363日で記録した大会最年少優勝の更新に挑む。(瀬川 楓花)
◆蝉川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫・加東市生まれ。22歳。1歳からプラスチック製クラブでゴルフを始め、兵庫教大付中から大阪・興国高を経て東北福祉大。高校2年時に関西ジュニア、高校3年時に国体優勝。22年度アマチュア日本代表。22年9月のパナソニックオープンで初優勝し、10月の日本オープンで史上初のアマ2勝目。11月にプロデビュー。175センチ、77キロ。家族は両親と姉。