香妻陣一朗、超高額LIVゴルフに日本人初の本格参戦「日本で稼ぐ一生分を一年で」…過去3試合で1億6800万円


LIVゴルフに日本人で初めてフル参戦する香妻陣一朗

LIVゴルフに日本人で初めてフル参戦する香妻陣一朗

 男子ゴルフで発足3年目を迎え、破格の賞金で注目される新ツアー「LIV(リブ)ゴルフ」に今季から日本人で初めて本格参戦する香妻陣一朗(29)=国際スポーツ振興協会=が、1日までにスポーツ報知の単独取材に応じた。昨年12月に3枠の出場権をかけて73人で争われた予選会を突破し、2月2日からメキシコで開幕する全14戦のツアーに出場する。1試合で億単位での巨額賞金獲得も夢ではなく「LIVで自分のポジションを確立したい」と意気込んだ。

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 香妻は昨年12月10日、UAE・アブダビで3日間72ホールで行われた予選会を見事に勝ち抜いた。2位タイで3人が並び、プレーオフで残り2枠の24年LIV出場権をゲット。「過去で一番うれしかった。人生でもなかなかできない経験。人一倍出たい気持ちが強かった」。通過した選手はステージに上がり、F1のシャンパンファイトさながらの祝福に酔いしれた。

 昨年は国内ツアーで未勝利も、年末にわずかな可能性にかけて挑んだ。LIVには22年6月からスポットで参戦。一度6位に入り、3試合で約1億6800万円を稼いだ。「有名な選手ばかりでやっていて楽しい。ここでやりたいなと思っていた」。試合は3日間54ホールで48人が各ホールから一斉スタート(ショットガン方式と呼ばれる)。競技時間が短く、会場でコンサートなどのイベントが催されるなど、雰囲気は「フェスみたいで面白い」という。

 いずれも元世界ランク1位でメジャー覇者のダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ(ともに米国)、ジョン・ラーム(スペイン)らビッグネームが集い、賞金額も破格だ。24年の賞金額は未発表ながら昨季の1試合総額は2500万ドル(約35億円)以上、優勝は400万ドル(約5億6000万円)だった。「日本で稼ぐ一生分を一年で稼げたりする。人生変わるのかなって。稼げる時に稼いで、その時のベストなフィールドで活躍するのがプロ」と正直な思いを隠さない。

 一方で、人権軽視が問題視されるサウジアラビア政府系ファンドが支援し、オイルマネーを背景に大物を次々と引き抜いたことから反発を招いた面もある。「何とも言えないけど、色んなリーグがあっていいと思う。団体戦もあるので、日本人が何人かで戦ったりできるように、まず僕が活躍できたら。LIVで自分のポジションを確立するのが目標」。世界的な舞台でもまれ、純粋にレベルアップしたい気持ちは強い。夢のあるリーグで挑戦の一年が始まる。(岩原 正幸)

 ◆香妻 陣一朗(こうづま・じんいちろう)1994年7月7日、鹿児島・鹿屋市生まれ。29歳。2歳からゴルフを始め、横峯さくらの父・良郎氏主宰の「めだかクラブ」出身。宮崎・日章学園高3年時の2012年11月にプロ入り。16年に初シード。20年三井住友VISA太平洋マスターズで初V。通算2勝。昨年は賞金ランク45位。国内生涯獲得賞金は約2億4130万円。姉はツアー1勝の琴乃(31)。165センチ、71キロ。妻はモデルの武井玲奈さん(29)で、昨年5月に長男が誕生。

 ◆LIVゴルフとは?

 ▽誕生 元世界ランク1位のグレッグ・ノーマン(豪州)が指揮を執り、22年からスタート。由来はローマ数字で「54」。3日間開催で全54ホール、全ホールでバーディーを取ればスコアが54などの意味がある。フィル・ミケルソン、ブライソン・デシャンボー(ともに米国)らが参戦し名をとどろかせた。

 ▽賞金 最下位でも12万ドル(約1680万円)。昨年賞金王、テーラー・グーチ(米国)は年間王者ボーナスと合わせ3530万ドル(約49億4000万円)を稼いだ。昨季米ツアー賞金王のスコッティ・シェフラー(米国)は2101万ドル超(約29億4000万円)。

 ▽日本ツアーと比べ 昨季賞金王、中島啓太の獲得賞金は1億8498万円。ただ、LIVは個人戦と13チームによる団体戦(4人)で各大会順位ごとのポイントで年間王者を争う独特の試合形式のため、日本では世界ランクのポイント加算対象外。

 ▽その他 昨年6月には米男子ツアーと事業統合すると発表。歴代メジャー覇者以外は4大メジャー出場が困難となる。欧州女子ツアーでも高額賞金大会を主催するなど、将来的には女子版創設の動向も注目されている。

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