「超過料金がかかったから頑張らないと」2年ぶりVの川崎春花、クラブを搭乗便に預けた7920円のため奮起


2年ぶりのツアー3勝目を挙げた川崎春花(カメラ・今西 淳)

2年ぶりのツアー3勝目を挙げた川崎春花(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー ミネベアミツミレディス 最終日(7日、北海道・真駒内CC空沼C=6667ヤード、パー72)

 単独首位で出た川崎春花(21)=村田製作所=が4バーディー、1ボギーの69をマークして大会新の通算18アンダーで逃げ切り、2022年マスターズGCレディース以来となるツアー3勝目を挙げた。ショットの不調で「人前でゴルフをするのが怖かった」と言うほど、どん底に陥った昨季はコースで何度も涙。桜井心那(20)=ニトリ=、尾関彩美悠(21)=JFEスチール=との03年度生まれの「ダイヤモンド世代」最終組対決を制し、復活を遂げた。

 ガッツポーズも涙もなかった。2年ぶりのウィニングパットを沈めた川崎は、右手をキャップのつばに添え、ぺこりとお辞儀をした。「ああ、やっと勝てたんだな」。実感が込み上げないまま、最終組で優勝を争った同学年の桜井と尾関からの祝福に笑顔を返した。

 1番で3パットを要し、今大会55ホール目にして初のボギーを喫した。「なにやってるんだろう」。気持ちを切り替えると、3週前から取り入れたパッティングのクロスハンドグリップが奏功し「今週はよく入ってくれた」。「しびれた」という7、8番の2メートル近いパーパットをねじ込んだ。

 ルーキーイヤーの2022年に2勝を挙げたが、昨年は不振に陥った。球がどこに飛んで行くかも分からなくなったといい、「人前でゴルフをするのが怖かった」。コースに来ては、涙が頬を伝った。練習場で打てば打つほど、悪いイメージが体にこびりついた。昨年6月のニチレイレディスは、ショット練習をせずにスタートしたほどだった。好調時のスイング動画を見ながら、地道にショット改善に取り組んできた。

 初出場の今大会は月曜からコースで練習がしたかったため、前週会場からクラブを宅配便で送らずに搭乗便に預けた。「その時に超過料金がかかったから、今週は頑張らないといけないと思った」と笑った。7920円のための奮起が、優勝賞金1800万を生んだ。生涯獲得1億5000万円超の21歳は、誰からも愛されながら、地に足をつけ生きている。(高木 恵)

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