国内男子プロゴルフツアーの2020年最終戦、日本シリーズJTカップは3日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりカントリークラブ(CC、7023ヤード、パー70)で開かれる。昨年大会覇者の石川遼(29)=カシオ=が、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。コロナ禍での開催に感謝し、「良い形で締めくくれたら」と6人目の連覇へ意欲を燃やした。ゴルフに対する考え方を変え、「方向転換」とした1年の胸中も激白した。(聞き手・榎本 友一)=〈1〉より続く=
石川は昨年、日本ツアーで3勝を挙げ、25年までの出場権を獲得。旺盛な向上心で、最速で22年からの米ツアー再挑戦を想定して今年、大きな変化を求めた。
「年齢も当然、頭にはありますけど正直、29歳の自分よりも40歳の方が良い体を作ることは可能だと思っていて。40代でもPGA(米)ツアーで戦っている選手もたくさんいます。僕は今はスイングが完成していないからティーショットを短いクラブで打つので、200ヤードのセカンドが残ったりもする。ただそれは将来、米国とかでも生きると思っていて。例えば優勝争いをして、最終ホールで必ずパーを取らなきゃならない状況になった時に、最後の最後の頼みの綱になる」
8月の全米プロで5年ぶりに海外メジャーに出場。海外でのパー5でのバーディー率を上げるためにウェッジを1本増やして4本入れ、140ヤード以内の精度向上にも励んできた。
「パー5はもちろん、米国だと長いパー4が増えているので5ウッド、4アイアン、5アイアンあたりの長いクラブの精度もめちゃくちゃ大事。そのクラブの精度をあと1年かけてじっくりと高めていって当然、PGAツアーにも挑戦したい。また世界の舞台に行って、今まで自分が行けなかった世界ランク(09年の29位が最高位)や、結果を残せるところまでいきたい」
今年2月の米ツアー2試合後、田中剛コーチ(41)に自ら連絡を取って師事した。高い再現性を求めトップの浅いスイングに取り組み、データに基づいた高確率のマネジメントも徹底。安定感を追求した。
「去年の11月、初めて田中コーチのSNSの投稿を目にして。その後、ゴルフ雑誌でもコーチの理論というか、データ統計学をゴルフに引用しているという記事を読んでなるほどな、と思って。感覚派の僕にはすごく突き刺さることをおっしゃっていて。感覚だけでやっていると盲目的になってしまうので意を決して、2月のメキシコ選手権後、問い合わせ先に『石川遼です』とメールをした。コーチは『絶対ウソだろ?』と思ったみたいです(笑い)」
変化の1年。各大会最初の練習ラウンドもウェッジとパターだけ持ってコースの隅々まで確認する方式に変更。今年最後の大会となるJTカップでも実践する。
「1番パー4はドライバーでしか今まで打ったことがなくて。第2打は52度、56度ウェッジになる。それが3ウッドと48度の組み合わせだったらどうなるのかな、と。ドライバーと3ウッドの着弾点のフェアウェー、両サイドのラフの状態を確認したい。左足上がりがきつくなるのか、緩くなるのかとかも知りたい。1ホールで0・5打でも削っていけるなら、徹底的に調べていきたいですよね」
ゴルフがうまくなるため、石川の探求の旅は続く。
◆石川の米ツアー再挑戦への道 主催者推薦試合と世界ランク(現在100位)で出られる米ツアーの大会やスポット参戦した海外メジャーなどで、初優勝すればツアーメンバーに返り咲く。または出場試合で上位に入るなど活躍を続け、フェデックスカップポイントランク125位以内に入れば翌シーズンの出場権を得る。また、同ランクで126~200位となれば、下部ツアーとの入れ替え戦に出場可能で、勝ち抜けば翌年の米ツアー出場権を獲得する。