女子ゴルフの渋野日向子(22)=サントリー=が21年初戦を迎えるダイキンオーキッドレディス(4~7日、沖縄・琉球GC)が開幕前日の3日、新型コロナウイルス禍に見舞われた。大会関係者2人に陽性者が判明したことが発表され、急きょ練習ラウンド中止と場内閉鎖という異例の処置が取られた。今大会初出場の渋野は「ビックリ」と驚きながら、予定通り有観客で試合開催が決まり「安心しました」と胸をなで下ろした。日米ツアーを掛け持ちする大事な1年がいよいよ始まる。
コロナ禍によるアクシデントにも、渋野は大会開催に安どした。「朝起きてビックリしましたが、会場の消毒をしてくださり、無事開催できるので安心しました。私自身も今まで以上に気をつけなくてはいけない」。予定されていた記者会見は中止となったが、談話を発表して心境を明かした。
2日夜に大会関係者2人の陽性が判明。選手には3日午前5時にメールで練習ラウンド中止と場内立ち入り禁止が通達された。ラウンドを予定していた渋野は予定を変更し、沖縄県内で調整に努めた。2日にアウト9ホールを回ったのみで“ぶっつけ本番”とみられるが、「できる限りのことはやってきた。ギャラリーの前でプレーするのは久しぶり。楽しみな反面少し緊張しますが、全力で戦う姿を見てもらいたい」とコメント。1日1000人を上限に、19年最終戦以来1年3か月ぶり有観客試合を心待ちにした。
この日午後には自身のYouTubeチャンネルを更新し、初戦の意気込みを配信した。「予選落ちする夢を見たけど、現実は予選通過できるように」「太ったなーって感じで見ていただけたら(笑い)。1月から(体重)3キロくらい」「優勝スコア? ワシも(聞かれれば)答えとるけど正直知らん」など面白コメントは今年も健在だ。
プレーでは“ニューしぶこ”を披露する。クラブは昨年まで2本だったウェッジを初めて4本投入するという。「パー5のバーディー率を上げる。100ヤード以内の(ショットの)再現性を高めて、もっと簡単に打つため」と狙いを明かした。21年は国内に軸足を置きながら、メジャーなど海外にもスポット参戦する「忙しい一年」と見据える。19年11月以来の優勝へ期待が高まる中、「今の自分ができる、目の前のことをしっかりやって地道に頑張ります」と気を引き締めた。(岩原 正幸)
◆渋野のウェッジ 昨年は52、58度の2本だったが、今年は46、52、54、58度の4本。ユーティリティーを2本から1本に、アイアン(ピッチング含む)を6本から5本に減らしている。
◆国内女子ゴルフにおける主な新型コロナの影響
▽20年2月 開幕戦のダイキンオーキッドレディスが88年のツアー制施行後初の開催中止
▽3月 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の総会後、小林浩美会長が「人の健康や命に関わる重大な問題」とコメント
▽4月3日 JLPGAが対策特別規定を制定。選手に競技前の検温などを義務づける
▽3~6月 首都圏の「緊急事態宣言」などを受け、16試合連続で開催中止
▽6月 アース・モンダミンカップでツアー初の無観客開催での開幕
▽7月 JLPGAがプロテスト全日程を21年3月以降への延期を発表
▽6~11月 計14試合を無観客で開催。無観客の影響か笹生や古江、原や西村ら若手が次々に優勝