吉田優利「差がありすぎて、気持ち悪い感じで…」2位に9打差!独走で2年ぶり優勝


通算13アンダーで優勝した吉田優利(中央)は、妹の鈴(右から2人目)らツアー仲間からフラワーシャワーで祝福され、笑顔を見せた(カメラ・今西 淳)

通算13アンダーで優勝した吉田優利(中央)は、妹の鈴(右から2人目)らツアー仲間からフラワーシャワーで祝福され、笑顔を見せた(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー Vポイント×SMBCレディス 最終日(23日、千葉・紫CCすみれC=6668ヤード、パー72)

 今季国内ツアー初出場の吉田優利(24)=エプソン=が2年ぶり通算4勝目を飾った。2位に8打差の単独首位から出て4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの71で回り、通算13アンダー。後続に9打差をつけての優勝は、日本ツアー歴代10位タイ記録となった。昨季は本格参戦した米ツアーで環境の違いに苦しんだ中、23年5月のワールドレディスサロンパスカップ以来の国内V。悲願の米ツアー初制覇に向けて大きな弾みをつけた。

 優勝を祝うフラワーシャワーが春風に舞う中、両手を広げた吉田優の愛らしい笑顔がはじけた。地元・千葉でホステスプロとして凱旋し、2位に9打差の圧勝V。妹の鈴(りん、21)=大東建託=、渋野日向子(26)=サントリー=らとハグし「こんなにいい結果になると思わなかった。最高な形で恩返しできた」。2年ぶりに頂点に立った喜びは格別だった。

 2日目を終え、後続と8打差。「吉田優利が勝つ」―。SNSにあふれる書き込みをふと見てしまい「雑念になるので開けなかった」と遮断した。最終日は「緊張した。(2位と)差がありすぎて、気持ち悪い感じで…」と重圧を全身で受けた中、1番、2番と連続バーディーで発進し、後続と最大11差に。16番でダブルボギーをたたくもぶっちぎった。2日目にチップイン連発とアプローチがさえ、3日間平均パット数26は出場108人中で1位。「自分のイメージ通りのゴルフができた」とうなった。

 昨年に本格参戦した米ツアーは16戦中9戦で予選落ち。環境の変化に苦しんだ。毎週のようにツアーが開催される日本と違い、米ツアーは空き週や飛行機の遅延は日常茶飯事。時差ボケによる体調不良、過食や小食に陥るなど、細かくルーチン化していた生活リズムは崩れた。「家におばけが出たり、トイレの水があふれすぎてリビングが浸水してしまったり」と苦悩ぶりをSNSで吐露していた。

 異国で経験を重ねる中で「ルーチン通りにやれない形でもやれる。結果を求めなくても勝手についてくる」と楽観的な考えに変わった。今季はナショナルチーム時代からの恩師、ガレス・ジョーンズ氏の指導でスイングを修正。「インパクトのタイミングを速く」と今週は強く意識し、3日間のフェアウェーキープ率83・3%は全体3位。進化が結果を生んだ。

 24日には次戦のフォード選手権(27~30日、アリゾナ州)に向けて渡米する。米ツアー初Vは「まだ想像できない」と壁は高いが、「シードを取りたいし一試合一試合、戦い続けたい」。自分に言い聞かせるように見据えた。(星野 浩司)

 ◆吉田 優利(よしだ・ゆうり)2000年4月17日、千葉・市川市出身。24歳。10歳で父・英隆さんの影響でゴルフを始める。麗沢高3年時の18年に日本女子アマ、日本ジュニア優勝。19年プロテスト合格。21年楽天スーパーレディースで初優勝。23年ワールドレディスサロンパスカップで国内メジャー初制覇。通算4勝。24年から米ツアー本格参戦。日本ウェルネススポーツ大卒。158センチ、58キロ。家族は両親と弟、妹。

 ◆ツアー記録は15打差 日本女子ツアーでの最多差優勝は1996年の伊藤園レディスでローラ・デービース(英国)が記録した15打差。続いて11打差が3例あり、73年の東海クラシックの樋口久子、98年の伊藤園レディスの服部道子、2004年の日本女子オープンの不動裕理。今回の吉田優利の「9」は歴代10位。

◆困難でも自力で解決できる 吉田優利の強さ

 吉田優には困難を自力で解決できる強さがある。米ツアー1年目の昨年は環境の違いに苦しみ、結果が伴わず。それでも、数回帰国した際も家族にすら悩みを打ち明けることはなく普段通り明るく振る舞った。父・英隆さん(50)は「昔から自分で課題に取り組み、結果を出すタイプ」と評す。両親が飲食店経営で多忙だったこともあり、自分で考えて行動する環境がそうさせた。早朝に起床し、練習、食事、リフレッシュ。生活時間を細かく管理し、自身を律してきた。

 2位と8打差で第2日を終えた22日夜は父とイタリア料理店で会食。パスタやリゾットを食べながら「簡単に逃げ切らせてもらえない」と口にした。現状を理解し、慢心しない姿勢が優勝につながった。(星)

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