
2番、力強くティーショットを放つ清水(カメラ・中島 傑)
◆男子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本オープン 第3日(18日、栃木・日光CC=7238ヤード、パー70)
5位で出た清水大成(26)=ロピア=が8バーディー、1ボギーでこの日のベストスコア63をマークし、通算8アンダーで単独首位に浮上。今年5月のメジャー、日本プロ選手権でツアー初優勝を挙げたパット巧者が、ツアー制施行後では2008年片山晋呉以来17年ぶり5人目となる日本オープンとの同年優勝に王手をかけた。4打差を逃げ切り、優勝者に付与されるマスターズ切符をつかみ取る。
メジャーの難セッティングで、清水が一人だけ異次元のプレーを見せた。平均スコア72・19の3日目に、大会記録まであと1打に迫る63のビッグスコアをたたき出した。「トップに立っているのは分かっていたけど一打一打に集中できた。3日目だし、まだ守って勝てるような試合じゃない」。最後まで手綱を緩めることなく攻め抜いた。
1番で6メートルを沈めてバーディー発進し「あれを機にパターのフィーリングが良いまま回れた。ラインをしっかり読めた」。14番で4メートルのフックラインをねじ込みパーをセーブ。15番でも5メートルを決めきりスコアを伸ばし右拳を握った。昨年の平均パットでツアー歴代最高の1・6884を記録したパット巧者。速くて傾斜が強い今大会のグリーン上でも存在感を発揮している。
前週の米ツアー、ベイカレント・クラシック・レクサス(横浜CC)は現地ウェーティングだったが出場はかなわなかった。「もちろん出たかったけど、気持ちを切り替えて今週に集中できている」。時間を有効に使い、持ち球のフェードに磨きをかけてきた。海外志向は強く、今年の米ツアー予選会受験も視野に入れている。今回は従来の全英オープンに加え、優勝者に来年のマスターズの出場資格が付与されるとあり、勝ちにこだわり調整を積んできた。
開幕前日には2013年マスターズ覇者のアダム・スコットと9ホールを回った。「スイングの軸というか体幹というか。安定感がすごい」。目で学びつつ、積極的に質問を重ねた。「マスターズは小さいころからテレビで見て育った。みんなが行きたい場所」。メジャー2冠を達成し、オーガスタ行きの切符を勝ち取る。(高木 恵)
◆日本オープンと日本プロの同年2冠 過去に4人が達成。1975年の村上隆、89年の尾崎将司、99年の尾崎直道、2008年の片山晋呉。
◆清水 大成(しみず・たいせい)1999年1月17日、福岡・春日市生まれ。26歳。9歳からゴルフを始める。高校時代はゴルフ部のない東福岡高で個人活動し、2年時に九州オープンで2位。日大に進み2017年日本学生で21年ぶりの1年生王者に。20年にプロ転向。ツアー3勝の時松源蔵を育てた篠塚武久氏の指導を受け、握りは時松と同じベースボールグリップ。175センチ、74キロ。