横峯さくら「できれば優勝したい」…脱「夫に甘え」で2打差7位好発進 10年344日ぶりV狙う


9番、第3打を放つ横峯。初日を4アンダーで7位につけた(カメラ・今西 淳)

9番、第3打を放つ横峯。初日を4アンダーで7位につけた(カメラ・今西 淳)

◆国内女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス 第1日(31日、埼玉・武蔵丘GC=6690ヤード、パー72)

 2009年賞金女王でツアー23勝の横峯さくら(39)=エプソン=が4バーディー、ボギーなしの4アンダー、68で回り、首位と2打差の7位と好発進した。今季はメルセデス・ランク97位と苦戦も「優勝したい」と、主催者推薦選考会の通過者としては史上初、歴代ブランク3位(88年のツアー制施行後、招待選手除く)の10年344日ぶり、21年の第1子出産後では初となる劇的Vへ意気込んだ。いずれもルーキーの都玲華(21)=大東建託=、荒木優奈(20)=Sky=がともに66で首位発進した。

 横峯がベテランの技を見せつけた。後半の1番は1メートルに寄せ、8番では11メートルをねじ込んで4バーディー。傾斜がきつい難コースでパーオン率100%とショットがさえ、ボギーなし。5位発進した前週に続き7位の好スタートに「ショットもパットも落ち着いて打てている。スイングのバランスが良かった」と、うなずいた。

 メルセデス・ランク97位の横峯は今大会の出場資格がなく、10月27日の主催者推薦選考会に出場。「いろんなことを考えすぎなければ通ると思った」。若手プロや10代のアマチュアに交じり、元賞金女王の39歳がボギーなしの4アンダー、5位で堂々の突破。史上初となる選考会からの“成り上がり優勝”に向け、本戦でも好ショットを連発し続けた。

 昨年までは「1ヤードでも前に」と飛距離を求め、ドライバーのロフト角を異例の7・5度に設定したが、今季は10・5度に。ツアー3勝のささきしょうこ(日本触媒)から助言を得て9月にボールを替え、飛距離は落ちても方向性やアプローチの正確性が格段に増した。

 ここ数年は夫の森川陽太郎さん(44)がキャディーを務め、今夏からクラブ選択や戦略なども全て任せた。「夫に甘えていた。楽だったけど、これじゃ上では戦えない」と相談し、前週まで2週連続でハウスキャディーを起用。今週は夫が担ぐが、助言は求めず「自分の中で全部解決させて打つ感じです」。12月に40歳を迎える1児の母が、前向きな試行錯誤で好結果を生んでいる。

 今季28戦で予選落ち18回。9位が最高で14年以来のシード獲得は厳しい現状だ。夏場に自身の出来を「最悪」と嘆いたが、直近5戦は予選突破中。普段、大きなことは口にしない性格だが「できれば優勝したい」と横峯。以前は「かけ離れていた」という目標とプレーがかみ合い、確かな自信が柔和な笑みににじむ。首位と2打差。一発逆転のシード復帰&ママ初Vへと夫婦二人三脚で向かう。(星野 浩司)

 ◆主催者推薦選考会 ツアー出場資格を持たない非シード、予選会下位、アマの各選手による選考会。各大会で上位数人~20人程度がトーナメントへの出場権を獲得できる。月曜に行われる大会が多いため、「マンデートーナメント」と呼ばれる。今大会は44人が参加し、9人が通過した。国内男子ツアーでは、選考会突破からの優勝(73年のツアー制施行後)は79年の佐藤昌一ら6人いる。

 ◆横峯 さくら(よこみね・さくら)1985年12月13日、鹿児島・鹿屋市生まれ。39歳。8歳の時、父・良郎さんがつくった練習場でゴルフを始める。高知・明徳義塾時代、同い年の宮里藍とタイトルを争う。2004年プロテスト合格。05年ライフカードレディスでツアー初優勝。09年賞金女王。15年に米ツアーへ参戦し、22年に国内復帰。通算23勝。14年にメンタルトレーナーの森川陽太郎さんと結婚。21年に長男・桃琉(とうり)くんを出産。155センチ、51キロ。

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