パットイップスだった美人プロ大西葵が流行の「アームロック式」で首位浮上


4番、グリーンでラインを読む大西葵

4番、グリーンでラインを読む大西葵

 ◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス 第2日(20日、熊本空港CC=6428ヤード、パー72)

 首位と1打差の2位からスタートした大西葵(24)YKK AP=が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算6アンダーとして首位に浮上した。プロテストに合格した20歳の頃からパットで思ったように手が動かなくなる「イップス」に陥り、低迷していたが、米男子ツアーで流行している「アームロック式」を2週前に取り入れてから調子が急上昇。自己最高成績が7位の美人プロが一気に初優勝を狙う。大西と並び、韓国のイ・ソルラ(28)=九電工=も首位。1打差の3位に酒井美紀(27)=国際スポーツ振興協会=と韓国の李知姫(40)=フリー=が続く。「セクシークイーン」と呼ばれる韓国のアン・シネ(28)=NOW ON=は、膝上25センチ(推定)の超ミニスカートという“ぎりぎりウェア”で奮闘し、通算3オーバーの50位でぎりぎり予選を通過した。

 入れれば首位。18番パー5のバーディーチャンス。しびれるような1メートルのパットを大西は、きっちりと沈めた。「しっかりと手が動いてくれました」。24歳の美人プロは重圧がかかる一打を笑顔で振り返った。

 本来、当たり前にできるはずの動きができなくなるイップス。ゴルフではパットの際に“発症”する選手が多く、大半の選手が克服できずにひっそりとツアーの表舞台から消えていった。9歳でゴルフを始めた大西は千葉学芸高を卒業し、2年目の2014年に2回目の挑戦でプロテストに合格したが、実はその頃からイップスに悩まされていた。

 特に昨年から悪化し、13試合中9試合で予選落ち。今季前半戦の優先出場権を争う最終予選会では4位と健闘し、希望を持って19年シーズンを迎えたが、開幕から4試合連続で予選落ち。「全然、ダメ。全く手が動かなかった」

 大スランプ脱出のヒントは世界最高峰の米男子ツアーにあった。長めのシャフトを左腕に固定するアームロック式でパットする選手が続出。特に独特の理論を持ち「科学者」と呼ばれるブライソン・デシャンボー(25)=米国=のプレーを参考にして、2週前のヤマハレディースから取り入れた。すると今季、初めて予選を通過した(49位)。先週のスタジオアリス女子オープンは棄権したが、アームロック式パットを取り入れて3試合目で一気に優勝争いの主役に躍り出た。

 「カップに入らなくても手が動けばいい」と精神的なハードルを下げたことも奏功している。先週まで1ラウンド平均31・15パットを要したが、今大会は第1日が24パット、この日が26パットで平均25パット。6打以上も向上した。

 自己最高成績は15年マスターズGCレディースの7位。その時以来の最終日最終組に挑む。プロ6年目で念願の初優勝のために最も必要なことを問われると「気持ちです」と即答した。メンタル面が原因のひとつとされるイップスに加え、プレー中の心構えにも難があることを自覚している。

 「私、下手クソなくせに1個のボギーですぐにキレるんです」

 笑顔で自虐ネタを披露した。

 苦しみ抜いた24歳は今、自身の弱さを受け入れる強さを持つ。個性派美人プロが勝負の18ホールに挑む。

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