金谷拓実、松山以来4人目のアマ優勝 先輩と同じイーグル締め「信じられない」


18番で優勝を決めるイーグルパットを沈めガッツポーズする金谷拓実。史上4人目のアマチュア選手の男子ツアー制覇となった(カメラ・今西 淳)

18番で優勝を決めるイーグルパットを沈めガッツポーズする金谷拓実。史上4人目のアマチュア選手の男子ツアー制覇となった(カメラ・今西 淳)

 ◆男子プロゴルフツアー 三井住友VISA 太平洋マスターズ最終日(17日、静岡・太平洋C御殿場C)

 1打差の首位で出た世界アマチュアランク1位の金谷拓実(21)=東北福祉大3年=が1イーグル、6バーディー、3ボギーの65をマーク。通算13アンダーで、1973年のツアー制施行後、2011年大会の松山英樹以来4人目のアマチュア優勝を達成した。20、21年の2年シードを獲得し、今後は松山と同じ“大学生プロ”の道を歩む可能性も出てきた。

 雪化粧した世界遺産・富士山の麓で、世界最強アマが歴史的快挙を成し遂げた。最終18番。ノリスと首位に並んで迎えた金谷が、アマ世界1位の真価を見せつけた。残り220ヤードから5アイアンでの第2打を左下7メートルへ。力んでグリーンをオーバーした相手を尻目に、イーグルパットを決めてツアー4人目のアマV。大歓声の中、右拳を振り下ろしてド派手に喜びを表現した。「最後まで諦めずにプレーした結果。すごく長い一日でした。負けん気とか、勝負に徹するのは自分の強みかな」と、苦笑いで振り返った。

 8年前。中学1年の金谷はテレビで松山のアマ優勝を目にした。当時の松山と同じく衝撃のイーグル締めでのVに、「信じられない。松山選手に『プロのトーナメントで勝って来いよ』と言われたのでいい報告ができてうれしい。世界のトップ選手なので、早く松山さんと同じ土俵で戦えるように頑張りたいです」と、米ツアー日本男子歴代最多5勝の偉大な先輩の背中を追い続けることを誓った。

 昨年のアジア・パシフィックアマチュア選手権で優勝。今年4月のマスターズ58位で8月には、松山以来の日本男子2人目の世界アマランク1位となった。だが、10月のアジア・パシフィックアマ選手権で連覇を逃した後、不調に陥った。

 10月末の学生大会団体戦では大学入学後初めてレギュラーから外された。生真面目な21歳は失意に沈んだが、松山も11年大会でアマ優勝後、学生大会で79をたたいたことを知った。「あの松山さんでもあるのだから」と気持ちを切り替えて、今大会で再出発した。

 初優勝で今季最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(12月5日開幕・東京よみうりCC)の出場権も獲得した。この日見守った東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(57)は、「オーストラリアオープンに出て、来年の全英オープンの出場権獲得を目指そうと本人とは話しています」と説明。招待を受けている同週開催のオーストラリアオープンへの出場を明言した。

 この優勝で20、21年の2年間の国内シードを獲得。期間中にプロ転向すればツアー参戦が可能となる。欧州ツアー予選会受験も考えており、「いろんな人に相談して決めたい」と金谷。米女子ツアーで活躍する畑岡奈紗(20)はアマ日本代表の同期。「世界一になりたい」という同じ夢を持った“黄金世代”が、令和の男子ゴルフ界を担っていく。(榎本 友一)

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