◆東京五輪 女子ゴルフ3日目 (6日、埼玉・霞ケ関CC=7447ヤード、パー71)
6位で出た日本ツアー7勝の稲見萌寧(22)=都築電気=が5バーディー、2ボギーの68で通算10アンダーに伸ばし、首位と5打差の3位に浮上した。日米通算9勝の畑岡奈紗(22)=アビームコンサルティング=は11位で出て6バーディー、2ボギーの67で8アンダー7位。五輪ゴルフ日本勢初のメダル獲得と、ダブル表彰台へ望みをつないだ。ネリー・コルダ(米国)が15アンダーで単独首位をキープ。
大舞台にも気負いはない。稲見は6番までに3つスコアを伸ばした。13番で5メートルを決め、小さくガッツポーズ。「(上位でも)あまり焦ったりはない。この3日間楽しく回れてスコアも伸ばせている」。18番で「もったいない」ボギーをたたいたが、68で3位タイとメダルが見えてきた。
3日間のフェアウェーキープ率は83・33%で1位。「ラフから打つ回数が少ないからスコアにつながる」と、ティーショットの正確さが際立つ。父・了(さとる)さんは今年好調の要因を「トレーニングの効果」と分析する。昨年12月の全米女子オープンで画面に映る姿に「うわっ、痩せてる」と感じ、トレーナーに連絡。オフは週6回のトレーニングで服のサイズもMからLに変わり「体の軸がしっかりしてスイングが安定した」(父)という。
“練習の虫”で知られる稲見はオフは連日、昨年まで苦手だったパットの克服に励んだ。打撃練習とトレーニング後、父の運転でジムから40分かけて浜野GC(千葉)へ。2メートル以内を8球続けて入れる練習で自信が芽生え、3月からツアー5勝の快進撃につながった。この日も3番で11メートルのバーディーパットを沈め、硬く速いグリーンも苦にしなかった。
男女通じて日本初のメダルに向け、「もちろん欲しいけど、そこまでプレッシャーで追い込む必要はない。楽しく回って順位を上げられたら」と平常心を強調した。普段通りのブレない姿勢で偉業に挑む。
◆五輪のゴルフ競技 1900年パリ、04年セントルイス大会で開催。以降は除外され、2016年リオ五輪で112年ぶりに正式種目に復帰。60選手が出場し、72ホールのストロークプレーの個人戦。初出場した日本女子は野村敏京が4位、大山志保が42位。朴仁妃(韓国)が金、リディア・コ(ニュージーランド)が銀、フォン・シャンシャン(中国)が銅とメジャー覇者3人がメダルを獲得した。同じスコアで2位、3位に複数選手が並んだ場合は、プレーオフで1人のメダリストを決める。