
18番でバーディーパットを沈め、ガッツポーズする中島啓太。トータル9アンダーで2位に入った(カメラ・渡辺 了文)
◆男子プロゴルフツアー ダンロップフェニックス 最終日(19日、宮崎・フェニックスCC=7042ヤード、パー71)
アマチュアの杉浦悠太(22)=日大=が優勝したことで、アマが受け取れない賞金は総額2億円(優勝4000万円)が2位以下に振り分けられ、ともに3打差の2位に入った賞金ランキングトップの中島啓太(23)と蝉川泰果(22)=ともにフリー=が、それぞれ賞金3000万円を獲得した。中島は初の賞金王へ大きく前進。最終戦の日本シリーズJTカップ(30日開幕=東京よみうりCC、報知新聞社主催)を待たずに、次週のカシオワールドオープン(23~26日、高知・kochi黒潮CC)で決まる可能性が出てきた。
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優勝には届かなかったが、中島は価値ある2位をもぎ取った。優勝者がプロだったら、2位タイの中島と蝉川の賞金の振り分けは、1680万円(単独なら2000万円)だったが、杉浦が賞金を受け取れないアマチュアだったため、蝉川とともにそれぞれ賞金3000万円を加算。これで中島の獲得賞金総額は、杉浦の“おかげ”で「1320万円分」が上乗せされて1億6288万円となり、同ランク2位の金谷拓実に4033万円差をつけて、賞金王に王手をかけた。残り2戦はともに優勝賞金4000万円のため、最速で次戦で決着がつく。「来週優勝して現実的なものにしたい。それくらいの気持ちで臨みたい」と眼光を鋭くした。
17番パー3でピン奥3メートルを沈めると、意地の連続バーディー締めで順位を上げた。優勝した杉浦悠太(日大4年)はナショナルチーム時代の後輩。後半は惜しいパットが続き重圧をかけられずに終わったが、最終日最終組で競い合う時間が楽しくもあった。「最後まで勝ちを目指して頑張った。攻める姿勢や優勝を目指している姿は悠太に見せたかった。結果として追いつかなかったが、いい優勝争いはできたと思う」
今季3勝を挙げ、金谷とともに賞金王レースを引っ張ってきた。プロ初優勝を挙げた6月のASO飯塚チャレンジドでは「賞金王を取りたいという気持ちは特にない」と言った。キングへの思いが、試合を重ねるごろにあふれてきた。「もちろん他の選手は気になるけど、自分がいいゴルフをして試合に勝てばいいだけ。優勝を目指して頑張りたい」。今大会開幕前に、繰り返した。
21戦中トップ5入りが11回と好調を維持したまま、次戦に乗り込む。「勝てなかったので、もっと練習したい」。「すき家」がお気に入りの23歳庶民派の心は熱く燃えている。優勝して自力で石川遼(18歳)、松山英樹(21歳)に次ぐ年少3位での賞金王を決める。(高木 恵)