芹澤信雄の目 松山英樹の13番ダブルボギーは「アンラッキー」 巻き返しへ「パッティングがカギ」


◆米男子プロゴルフツアー マスターズ 第1日(10日、ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC=7555ヤード、パー72)

 第1ラウンドが行われ、2021年覇者の松山英樹(LEXUS)は2バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの1オーバー73で回り、首位と8打差の38位と出遅れた。前半は2アンダーで折り返したが、13番で第3打がピンに当たって小川に沈むアクシデントでまさかのダブルボギーと後退した。今大会を生中継するTBSで解説を務めるプロゴルファーの芹澤信雄が、松山や海外勢の初日のプレーを総括した。

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 松山選手のプレーは、一日を通して悪くなかった。13番でアンラッキーなことが起きて、ダブルボギーになってしまった。本来であればバーディーチャンスに止まっている雰囲気のショットだったが、終わってみれば『4』が『7』になった。そこだけですね。

 アーメンコーナー(11~13番)はハリケーンの被害で多くの松が倒れ、風の影響が懸念されていた。もう少し強いと今まで木があったところを風が抜けて影響を受けるけど、初日はそこまで強くなくて、極端な感じはなかった。その中で、13番の第3打は悪いショットではなく、完璧に打ってピッタリかなと思ったのがピンに当たって小川に落ちた。いいショットだっただけに、本人的にも何とも言えないでしょうね。

 12番は第1打をバンカーに入れた後にピンそば2メートルに寄せて、絶対にパーで上がれると思った。パーパットはしっかり狙ったところに打てたけど、強くいったので曲がらず、ボギーになったと思います。

 ドライバーは15番だけ1回曲げたけど、曲げてはいけないところで曲げていない。ショットは松山選手の普段のアイアンを思えばミスが何箇所かあったけど、全体的に悪くはなかった。パットは18番のバーディーパットだけは入れてほしかった。7番、8番、9番といいパットが入った中で、1つリズムの部分で、12番のパーパットを外したのが敗因だった。

 でも、パットは問題なく修正できる。初めてのオーガスタじゃないし、今までの経験値もある。間違いなく立て直して2日目以降に向かえる。明日も同じペアリングだし、そこについていければアンダーで回れる。ショットはめちゃくちゃ良いので、あとはパッティングがカギ。毎年のことだけど、入れたいところで入れることが大事。ホールアウト後の表情は穏やかで、インタビューでは笑顔も出ていたので、期待したい。

 7アンダーで首位に立ったジャスティン・ローズは全く隙がない。5番ですごくいいパーパットを入れて、ショットもすごくしっかりしていて、1人だけスコアを伸ばした。もともとショットメーカーなので、冷静にやっていけば優勝を狙える。

 2位のスコッティ・シェフラーは余裕の感じの4アンダーだった。二重丸です。長いパットが2つ入ったけど、短いのも外してるので、“行ってこい”だと思う。戦略も危なげない。全体的にピンにビタビタきていたわけじゃないけど、いってはいけない方には絶対にいってない。オーガスタの戦略を知っている。

 今大会の一番の注目はロリー・マキロイ。今年は調子がいいのでかなり期待してる。初日の前半はいい感じでパターが入ったけど、後半でダブルボギーが2つあった。2日目以降、頑張ってほしい。同組で2位に入ったルドビグ・オーベリは、昨年も淡々とやって2位になったけど、今年はもしかしたら(優勝も)あるかな。冷静さがあって可能性がめちゃくちゃ見える。

 初日は気候や気温、風も穏やかな一日だった。初日って意外と名前をあまり聞いたことない選手が(上位に)出てくることが多いけど、今回は上位はほとんど知ってる選手ばかりだった。天候は4日間良さそうなので、最終的にはビッグネームが上位にそろうのでは。ここからがオーガスタの罠がいっぱいあるので、選手も大変だと思う。見逃せないですね。

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