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18番、バーディーパットを決め、ガッツポーズをする金谷拓実。通算9アンダーの単独3位でフィニッシュした
◆男子プロゴルフツアー 最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 最終日(5日、東京・東京よみうりCC=7023ヤード、パー70、報知新聞社主催)
賞金ランク3位から優勝での逆転賞金王を目指した金谷拓実(23)=Yogibo=は、5バーディー、1ボギーの66で回り、通算9アンダーの3位だった。優勝とタイトルは逃したが賞金ランク2位に入り、来年の全英オープン出場権獲得が濃厚。世界ランクも49位に浮上する見込みで、マスターズ切符もほぼ手中に収めた。C・キムが、1987年のデビッド・イシイ(66)に続く米国人2人目、外国勢4人目の賞金王に輝いた。
世界へ続く運命の扉をこじ開けた金谷が、右手を力強く握った。8アンダーで迎えた最終18番。5ユーティリティーで放った第1打はグリーン奥5メートルに落ち、急傾斜をゆっくりと転がって右手前1メートルで止まった。「マスターズだったりを意識したパットだった。決められてすごい良かった」と冷静にバーディーパットを沈めて観客を沸かせた。
この一打で9アンダーの単独3位に入って賞金1000万円を加算し、賞金ランク2位が確定。例年2位までに与えられる来年の全英オープン出場権獲得が濃厚で、聖地・セントアンドリュースに足を踏み入れる。さらに、世界ランクも49位に浮上する見込みで、今月末までの同ランク50位以内に与えられる来春のマスターズ切符も射程圏となった。
初日は71で21位と大きく出遅れたものの、ステーキ、ウナギだった夕食を3日連続で大好物のハンバーグに変えてエネルギーチャージ。運命の分かれ道となった最終日の18番は「優勝は厳しい状態だった」と3打差を頭に入れながら「最後まで自分のベストを尽くして、いいショットを打てて良かった」。最後の最後まで諦めることなく、昨年大会の初日以来となる18番のバーディーで自ら運命を決めた。
コロナ禍で20、21年が統合された長いシーズンは今大会で終わりを告げた。13年の松山英樹以来となるルーキーシーズンに獲得賞金1億円を突破するなど偉業を成し遂げたが「最初から海外でプレーしたかった。したんですけど、いいプレーができなかったので日本に戻る形になって」。今年5月の海外メジャー、全米プロ選手権と7月の全英オープンは予選落ちして悔しさを味わった。「来年こそは軸足をあっち(海外)にしたい」。海外メジャーの挑戦権を手にした金谷は、次なるステージへと向かう。(菅原 美沙)
◆新人での賞金1億円突破 2013年、松山英樹が4勝で2億107万6781円を獲得し、史上初の新人賞金王。2020―21年、金谷が2勝で1億1980万3605円を獲得して賞金ランク2位。