勝みなみ、猪木さんの信条「迷わず行けよ。行けばわかるさ」体現して史上3人目の大会連覇


17番で第2打をピンそばに寄せて手を叩く勝みなみ(カメラ・今西  淳)

17番で第2打をピンそばに寄せて手を叩く勝みなみ(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本女子オープン 最終日(2日、千葉・紫CCすみれC=6839ヤード、パー72)

 3位から出た勝みなみ(24)=明治安田生命=が“猪木魂”で混戦を制し、史上3人目の大会連覇を飾った。6バーディー、2ボギーの68で、通算3アンダーの逆転で今季2勝目、通算8勝目(メジャー2勝)。1日に亡くなったアントニオ猪木さんの有名な言葉「道」の「迷わず行けよ。行けばわかるさ」をラウンド中に自身に言い聞かせて奮闘。12月に来季米ツアー出場権を懸けた予選会への挑戦も表明した。

 18番、最終組・申ジエ(韓国)のチップインイーグルを狙った第3打が外れると、クラブハウス内で待機していた勝の連覇が決まった。「外に出たら、おめでとうと言われ、あっ、優勝したんだなって。信じられない」。1組前を回り最少の68。自分でも実感がないほど驚きのタイトル防衛だった。

 前半は最終日にして初めての伸ばし合い。3打差を追って、果敢に5バーディーを奪い首位に並んだ。10番、カラーから7メートルをパターでねじ込む圧巻のパーセーブ。思わず右手を高々と上げた。13番から連続ボギーも、最難関14番は第1打でアイアンを持ち、勝負にこだわった。申、吉田と並んでいた17番で2メートルにつけ「決めたら単独首位。ラインが見えていた」と混戦を抜け出した。

 朝のコースへ向かう車中、猪木さんの名言に心を揺さぶられた。大ファンだったという母・久美さん(55)の薦めでYouTubeで「道」を何度も再生した。「迷わず行けよ。行けばわかるさ」。熱い言葉に「隣で母が号泣して、私もウルっときて、自分のことを言われているみたいな気がした」と元気をもらった。自身も小祝さくらとプロレス観戦に訪れるなどファンでもあり、ラウンド中も「ずっと考えながら回った」と明かした。18番で好機を逃したパットを除き「迷わなかった」と“猪木魂”を体現した。

 アンダーパーが2人だけのタフな設定を攻略し、樋口久子(68~71年、76、77年)、畑岡奈紗(16、17年)に続く3人目の連覇を達成した。「連覇したい、って連呼していた」と母。毎晩約20分、宿舎でパターを転がし今季1・75で平均パット1位の感覚を養った。

 来季は米ツアーを主戦場とすべく、12月に行われる最終予選会を9月中旬の段階で「ポチって申し込んだ」と“迷わず”に進むべき道を決断した。3連覇を目指す来年大会は「(米国から)帰ってきて出たい」と早くも未来を描く。「あと1勝、必ずしたい」。“燃える闘魂”を胸に、今季残り8戦に挑む。(岩原 正幸)

 ◆みなみに聞く

 ―後半は連続ボギーと苦しんだが、終盤に勝負を決めた。

 「前半、5つバーディーを取って貯金があって良かった。コースが違うからか(昨年は栃木・烏山城CC)、連覇したというより新鮮な気持ちで優勝を喜んでいる」

 ―9000人を超える観客が詰めかけた。

 「やっぱりプロの試合はこうでなきゃと思った。(ファンの応援に)本当にいつも支えられて感謝しかない」

 ―今年、祖母を亡くし、悲しいことも。

 「(観戦に訪れる)おじいちゃんが、おばあちゃんが使っていた数珠をつけている。どこかで見ていてくれたらうれしい。家に帰ったら(祖母の)写真に報告します」

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