「ショットが悪かったらショートゲームでカバー」レジェンド金言で稲見萌寧、復活ののろし


18番で笑顔を見せる稲見(カメラ・今西 淳)

18番で笑顔を見せる稲見(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー スタンレーレディスホンダ 第1日(10日、静岡・東名CC=6435ヤード、パー72)

 2020~21年シーズンの賞金女王で、21年東京五輪銀メダルの稲見萌寧(26)=フリー=が6バーディー、ボギーなしで今季自己ベストの66をマークし、首位と1打差の6位と好発進した。今季はショットの精度を欠き、予選落ち15回と苦戦。通算50勝の不動裕理(48)から授かった“金言”を胸に、復活の2年ぶり14勝目を狙う。岩井千怜(ちさと、23)=ホンダ=、佐久間朱莉(22)=大東建託=ら5人が7アンダー65で首位に並んだ。

 長いトンネルから抜け出そうともがく稲見から、満面に笑みがこぼれた。20年大会を制したコースで7番は4メートル、8番は1メートル、9番は4メートルを決めて3連続バーディー。78をたたいた前週の日本女子オープン最終日から一転、今季自己ベストの66に「すごい良いスタート。(自己採点は)常に70~80点が100点だと思ってるけど、今日は70点くらい」と声をはずませた。

 20~21年に9勝を挙げた賞金女王。だが、23年に13勝目を飾った後、腰痛などで長いスランプに陥った。今季はアイアンショットの精度を欠き、出場25戦で予選落ち15回、棄権1回。夏場は「体を整える」ために3週間休養し、体重は3キロ落ちた。8月のCATレディース初日は最下位に沈み「直すところが多すぎてパンク中」と解決策を見いだせない日々が続いた。

 レジェンドの金言が復活を後押しする。前週は自身が目指す永久シードを保持する不動とラウンド。「永久シードを取れば本当に好きな時に好きな試合に出られますか?」など質問攻めに。「ショットが悪かったらショートゲームでカバーすればいいじゃん」と言われ、「人生で一番響いた。あれだけのショットメーカーが言うなら、それが絶対だな…」と胸に刻んだ。

 自身も19年から2季連続パーオン率1位のショットメーカー。精度が落ちて以降はショット練習を重視するあまり、比重が減っていたショートゲームの練習を増やし「不動さんから教えてもらい、より両方めちゃくちゃ頑張ろうと思えた」。この日は10番で左ラフ25ヤードからピンそば、14番で左ラフから1メートルに寄せてパーを拾うなど、成果が実った。

 18年プロテスト同期の渋野日向子、原英莉花が米ツアーから凱旋して観客を沸かせた中、ビッグスコアをたたき出した。首位と1打差で「明日から頑張りたいけど、変わらず努力して、もっと上を目指す」。2年ぶり14勝目へ復活ののろしを上げた。(星野 浩司)

 ◆稲見 萌寧(いなみ・もね)1999年7月29日、東京・豊島区生まれ。26歳。10歳からゴルフを始める。2018年7月、プロテストに一発合格。19年センチュリー21レディスで初優勝。21年東京五輪で日本ゴルフ史上初のメダル(銀)獲得。20~21年シーズンに賞金女王。166センチ、58キロ。

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