【古賀敬之のゴルフあれこれ】  第十七回 必ずしも「太った人」が「ダフる」わけではないのだが…


 これはもう、和製英語と言うより完全な「日本のゴルフ用語」になっている。「ダフる」は正式な英語で「hit fat(ヒット・ファット)」。もしくは「fat shot(ファット・ショット)」という。「fat」は、つまり「太った」とか「デブっちょ」の意味。つまり、クラブヘッドが厚く入ったショットということだろう。「ダフ」は英語では「duff」と書く。これは、英語でも古語の部類に入り「トンマ」とか「のろま」「役立たず」を意味する言葉だという。「ダフって」刻みながら前に進む様子が「のろま」に感じるからなのだろうか、こんな言葉が使われたのではないだろうか? しかし、最近の日本の辞書には「正確にボールを捉えられず、手前の地面を叩いてしまうこと」などと載るようになった。すでに〝日本語化〟している。そして、耳慣れたせいか、何故か分かりやすい。ちなみに、日本語の「だふ」を辞書で引くと「懦夫」というのが出てくるが、これも「臆病で意気地のない男」。何となく、「オドオドしたデブ」がクラブを振る様子が浮かんでくるが、やはり勇気を持ってスパッと振りぬけば「ダフる」ことがなくなるかも…。

 一方「トップ」の方は、文字通りボールの上の部分を叩く「topped shot(トップト・ショット)」といい、「トップした!」という表現にはそれほど違和感はなさそうだ。また、「fat」の逆で、「thin(ティン=薄い、痩せた=)shot(ショット)」というのもある。

 

 ◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。

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