あまり気にしたことは無いだろうが、ゴルフ場での支払いの段階で、支払い明細を見ると「諸経費」というのがある。いったい、これは何?
実は、「諸経費」というのはコースによって異なり、この中にはコース内の「道路補修費」や従業員の「福利厚生費」、クラブハウスやコース内の「水道光熱費」、さらには、カートなどの備品の「原価償却費」などが入っているのだ。例えば、ある企業が製品を生産して販売する場合、このような経費はすべて「商品価格」の中に含まれてしかるべきもの。だったら、本来のゴルフ場でプレーする場合の価格である「グリーンフィー」に盛り込まれるのが本当では無いだろうか? ところが、「諸経費」として別途徴収されているのだ。
そのカラクリの背景には「ゴルフ場利用税」というのがある。1950年代半ばから「グリーンフィー」に対して一定の税率がかけられた「利用税」がかけられていた。つまり、ゴルフ場側としては、プレーヤーの支払名目を増やすことによって「グリーンフィー」を下げることができ、それに伴って「税金」を安く抑えることが可能となる。要は「節税対策」なのだ。ところが、1974年に税制が変わり「1人に付きいくら」という定額課税に変わり、この〝裏工作〟は意味を失くしたはずだが、それでも、現在も厳然と残っている。
日本ゴルフ場事業協会によれば、「諸経費に関しての定義は無い」そうで、「決まりが無い」のだから、ゴルフ場側が勝手に「諸経費」の中身を決めていいことになる。ということは、いくつかの項目をくっつけてプレーヤーから徴収しているということだ。
これをゴルフ場に質(ただ)しても「昔からそうなっているので…」の答えが返って来るのがオチ。黙って、支払うしかないのだが、このカラクリを知っていても損は無い。得も無いが…。
◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。