1年前からキャディーに“指名”されていた奥嶋誠昭コーチ 稲見萌寧と「銀メダル取っちゃった!」


稲見萌寧(右)とキャディーの奥嶋コーチ

稲見萌寧(右)とキャディーの奥嶋コーチ

◆東京五輪 女子ゴルフ最終日(7日、埼玉・霞ケ関CC=7447ヤード、パー71)

 稲見萌寧(22)=都築電気=が通算16アンダーで並んだリディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフを1ホール目で制し、男女通じて日本ゴルフ界初のメダルとなる銀メダルを獲得。5打差3位で出て9バーディー、3ボギーの65をマークした。

 稲見をキャディーとして支えた奥嶋誠昭コーチは銀メダル決定直後、握手を交わし「銀メダル取っちゃった!」と喜びを分かち合った。

 約1年前から大役が決まっていた。昨年10月のスタンレーレディスでツアー2勝目を飾り、世界ランクが日本勢5番手に浮上すると「登録しとく」とキャディーに指名された。今季ツアー3勝を挙げた相棒として、ラウンド中、クラブ選択で“お決まり”の言い争いもあったが、1打差を追った最終日の17番。「最後は真っすぐだね」と4メートルのラインを読み切り、バーディーに貢献した。

 18年12月に稲見の練習拠点、千葉・北谷津ゴルフガーデンでアマチュアの指導をしていた際に出会った。生命線は「調子のバロメーター」というショットだが、当時は「球に当たっていなかった」と振り返る。スイングが「ドロー(軽く左に曲がる球)は内側からクラブが入っていくけど、それができていなかった」と、思い切って打ち方をフェード(軽く右に曲がる球)に変えさせた。1日10時間の練習量で、3か月後には精度が格段に上がった。

 今大会でも「ティーショットが変な所に行かなかったから、リズム良く回れた」という。4日間のフェアウェーキープ率は85・71%と、75・00%の2位笹生らに大差をつけた1位。5ヤードの幅で狙う意識を常に持ち、ラフからのショットを極力回避。海外勢との飛距離差を補い、快挙につなげた。

 日本勢初の表彰台。3年後の24年パリ五輪については「まだ全然話していない」と言うが、2人の次なる目標は「世界一」と明かした。二人三脚でさらなる飛躍を誓った。(宮下 京香)

 ◆奥嶋 誠昭(おくしま・ともあき)1980年3月26日、神奈川県生まれ。41歳。東京・堀越高卒。2011年に「横浜市内の「ノビテック・ゴルフスタジオ」でアマチュアの指導を開始。18年からツアープロの指導を始め、男子ツアー14勝の谷原秀人らを指導。同12月に稲見と契約し、今季男子ツアー2勝の木下稜介らにもレッスンを行う。

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