タイガー・ウッズは比嘉一貴、金谷拓実にも大きな影響、全英OPを取材・本紙記者が見た


 【セントアンドリュース(英国)19日=宮下京香】ゴルフの聖地、セントアンドリュース・オールドコースで第150回記念大会が行われた全英オープンは、キャメロン・スミス(オーストラリア)のメジャー初優勝で幕を閉じた。2015年以来、7年ぶり30回目の聖地での開催。同コースで2勝のタイガー・ウッズ(米国)の大きな存在感とゴルファーの特別な思いを「見た」。

 聖地でウッズの姿を見るのは、最後になるかも―。19年、日本開催のZOZOチャンピオンシップでツアー歴代最多82勝目を取材したが、「世界一のゴルフ・ファン」が集う聖地でのタイガー・フィーバーは想像を超えていた。ティーグラウンドに立った時、ディズニーの“ティガー”の格好をした熱狂的なファンが「タイガー」と叫ぶ。地響きが鳴るほどの歓声だった。

 ただ、その歓声、拍手には、どこか寂しさも感じた。昨年の自動車事故から復帰したスーパースターの6度目の聖地でのプレーは、第1ラウンド(R)で78、第2Rは75、通算9オーバー148位の予選落ちで終えた。

 ウッズは夢を与えてきた。海外メジャー初出場の比嘉一貴(27)は終始、言葉が弾む。セントアンドリュースでの05年大会、ウッズの優勝をテレビ観戦し「初めて『このコースに行ってみたい』と思った場所」と明かす。金谷拓実(24)も同様で「ここでプレーできる喜びをかみ締めてやりたい」。

 桂川有人(23)のキャディーを務めた地元出身のベンジャミン・キンズリーさん(26)は、ウッズと聖地で再会を果たした。前回全英が行われた15年大会の前週、同じコースでジュニアレッスン会が行われ、当時19歳だったキンズリーさんは、バンカーショットなど直接手ほどきを受けた。「気さくな方で、助言も丁寧。今でも信じられない経験です。今回会場で少し話ができた。ずっと僕のヒーローです」

 ウッズは第2Rの18番でファンから拍手を送られ、涙ぐんだ。「喝采を忘れることはない。もうここでプレーできるかは分からない」とセントアンドリュースでの全英出場が最後になることを示唆。だが、同時に「引退はしない。将来的にまた全英でプレーできる」とも語った。メジャー歴代2位の15勝を誇る46歳。世界中に、もう少しだけ夢を見させてくれるだろう。

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