優勝の蝉川泰果は持ち味の飛距離生かして攻撃姿勢貫いた 来年は世界の舞台で活躍期待…牧野裕氏の見解


ガッツポーズをする優勝の蝉川泰果(カメラ・今成 良輔)

ガッツポーズをする優勝の蝉川泰果(カメラ・今成 良輔)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 最終日(3日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 首位で出た蝉川泰果(フリー)が4バーディー、2ボギーの68で回って通算15アンダーとし、22歳326日で涙の大会最年少Vを飾った。1981年の羽川豊の23歳363日を更新した。4月の関西オープン以来となる約8か月ぶりの今季2勝目、通算4勝目をプロ初のメジャーVで達成。アマだった昨年の日本オープンに続くメジャー2冠は、73年ツアー制施行後の最年少でもあり、記録ずくめの22歳は来年の目標に「海外1勝」を掲げた。

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 第60回の節目にふさわしい、見応え十分な優勝争いとなった。前日までの北風から南風に変わり、選手は対応に苦しみ、ビッグスコアが出にくい状況だった。私は選手で出ていた頃から長年、この大会に携わっているが、その年の賞金ランク1~4位がそろって優勝争いをしたのは今回初めて見た。蝉川、中島、金谷ら20代の若手を中心にレベルの高い好ゲームだった。

 勝負を分けたポイントは今年も終盤だった。蝉川の16番ボギーで、通算14アンダーで中島、金谷と3人が首位に並んだ。易しい17番パー5で、蝉川は飛距離を生かして2オン2パットで着実にバーディー。中島の1・5メートルのバーディーパットは強めに入り、カップ縁で半転してまさかのパー。この一打で勝負は決した。

 蝉川は、平均306・57ヤードの飛距離を武器に攻撃的なゴルフを貫いた。大観衆の前で緊張感の中、積極的にドライバーを握り続け、飛んで曲がらない強みを生かした。最終日は全体1位のフェアウェーキープ率(78・571%)をマーク。同組の中島や石川よりも短いクラブで第2打を放ち、硬くて起伏の激しい難グリーンに対し、力強い高弾道ショットでピンそばに止めていけたのが勝因だった。まだ22歳。来年は欧州や世界舞台での活躍を期待したい。(プロゴルファー・牧野裕)

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