先日、全米女子オープンで優勝争いのすえ5位と大健闘した大山志保の帰国を取材して、強さの原動力を感じた。ひとことで言えば自然体。メジャーだからと気負うこともなく「楽しくて、楽しくて。(最終日は)手が震えるかと思ったけど、緊張感は全くなかったですね」と振り返った。
そんな言葉を聞いて、思い出したことがある。大山が米ツアーに本格参戦した09年、私は1泊100ドル弱のホテルに泊まって取材をしていた。コースで雑談していたところ、彼女のホテルはもっと安い80ドル(当時は円安のため7000円程度!)。ビックリして聞くと「全然大丈夫です。特に朝ごはんが最高なんですよ」とうれしそうに話していた。朝食の中ではワッフルがお気に入りで、自分で機械に液体を流し込んで作るものを毎日のように食べていたという。
今回の帰国の際に聞いてみると「ワッフル、毎日食べてましたよ!」と満面の笑みで答えてくれた。滞在中に日本食を食べたのは一度だけで、それ以外はずっとアメリカンフードで過ごした。「私、何でも食べられるし、どこでも眠れるんです」。観戦に訪れた父・晃さん(75)もピザとハンバーガーを美味しそうに食べていたという。
アメリカ出張のたびに日本食が恋しくなり、ホームシックにかかる自分と比べると、なんたる精神力の強さ。目標とするリオ五輪は地球の裏側で開催されるが、大山ならすぐにブラジルに適応してエンジョイできる。金メダルを目指す日本選手団を引っ張る存在になってくれるはずだ。
◇岩崎 敦(いわさき・あつし)
千葉県生まれ。早大卒業後、94年に報知新聞社入社。内勤のレイアウト担当、サッカー担当などを経てゴルフ担当は2000~02年、07~10年、15年~の3回。マスターズなど米ツアーは20試合以上取材しているが、一度もタイガー・ウッズの優勝を見たことがない。