2015年の女子ゴルフ界は「ボミ旋風」が吹き荒れた。韓国のイ・ボミ(27)=マスターズGC=が5月のほけんの窓口レディースを皮切りに年間7勝をマーク。年間獲得賞金は男子の伊澤利光(01年)を超え、男女を通じて国内ツアー最高となる2億3049万7057円となった。
32試合に出場して予選落ちは一度もなし。平均ストローク(70・1914)、パーオン率(74・5880)、平均パット数(1・7589)、パーセーブ率(89・5268)で1位となり、平均バーディー数も3・7321で台湾のテレサ・ルー(28)=太陽生命=に次ぐ2位。「これ以上はない、最高の一年」と振り返ったように、他の選手に付け入る隙を与えなかった。16年は海外メジャーへの積極参戦を表明しているものの、国内ツアーはボミを中心に回ることに間違いはなさそうだ。
賞金ランク2~5位を占めたのも外国勢。2位のテレサは日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を含む5勝。同3位の韓国の申ジエ(27)=スリーボンドホールディングス=もメジャー最終戦・LPGAツアー選手権リコー杯を制した。外国勢の牙城を崩すのは容易ではないだろう。
日本勢で最も期待がかかるのが、ツアー屈指の飛ばし屋・渡辺彩香(22)=ユピテル=だ。昨季は自身初の年間2勝。賞金も初の大台突破となる1億86万6583円を稼ぎ、日本人トップだった。昨秋からリオ五輪日本代表のヘッドコーチも務める丸山茂樹(46)に師事。課題としているショートゲームの精度向上に努めている。飛距離はあるだけに、小技の技術が上がれば海外勢を脅かす存在になれそうだ。
昨季成長著しかったのが菊地絵理香(27)=オンワードホールディングス=。KKT杯バンテリンレディスで初優勝を飾り、35試合で予選落ちわずか3度と安定感が光った。「来年(16年)はメジャーを取って、賞金1億円も超えたい」とオフは100ヤード以内を重点的に磨く予定という。
もちろん上田桃子(29)=かんぽ生命=、大山志保(38)=大和ハウス工業=、成田美寿々(23)=オンワードホールディングス=、原江里菜(28)=NEC=ら実績十分の実力者も虎視たんたんと女王の座を狙っている。
若手に目を向けると、昨季ツアー本格参戦1年目で賞金ランク33位に入った堀琴音(19)=東芝=の躍進が光った。目標に掲げていた「10代V」には届かなかったが伊藤園レディスでは3位と奮闘。1年間通して戦い、ツアー転戦の“コツ”はつかんだ。「アプローチの引き出しを多くしたい」と初優勝に向けて着々と準備を進めている。
主役の座を狙うのはプロばかりではない。2勝目を目指す勝みなみ(17)=鹿児島高2年=は地元・鹿児島の高牧CCの協力で筋トレルームを”新設”してもらい「フィジカルが足りないので、長い期間戦える体作り」を念頭に激しいトレーニングに励んでいる。また昨年の樋口久子・ポンタレディスで優勝争いを演じた畑岡奈紗(なさ、16)=翔洋学園高2年=も飛距離はプロ顔負け。初Vも夢ではない。
7月まではリオ五輪の出場権争いにも注目が集まる。開幕まであと約2か月。強さと美しさを備える女子プロたちの熱戦のゴングが待ち遠しい。
◇武藤 瑞基(むとう・みずき)
静岡県生まれ。静岡大卒業後、2009年に報知新聞社入社。2年目に担当したプロ野球のロッテがいきなり日本一になり、静岡支局時代は磐田がJ2に降格するなど 嵐を呼ぶ 男。15年からゴルフ担当。