
笑顔で優勝トロフィーを手にする清水(カメラ・谷口 健二)
◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 今季メジャー初戦 日本プロ選手権 最終日(25日、岐阜・三甲GC谷汲C=7337ヤード、パー72)
3打差5位から出た清水大成(26)=ロピア=が67をマークし、通算14アンダーで並んだ生源寺龍憲(たつのり、27)=フリー=との同学年プレーオフ対決を4ホール目で制し、ツアー初勝利をメジャー大会で飾った。昨季賞金王の金谷拓実(27)、ツアー2勝の桂川有人(26)らと同じ1998年度生まれ。日大時代から将来を嘱望されてきた26歳が大きな一歩を踏みだし、今季の賞金王取りを宣言した。
ウィニングパットを沈めた清水は、静かに右拳を握った。「やっと勝てた」。真っ先にこみ上げたのは、安堵だった。岐阜の山間部で繰り広げられた、生源寺との4ホールの死闘。65ヤードの第3打をウェッジで2メートル半に運び、勝負を決した。「大きい試合で初優勝できた。自分の人生で大きな一歩になった」。メジャーの舞台で、悲願をかなえた。
一時は3打のアドバンテージとともに単独首位を走ったが、試練はこの日も訪れた。16番で左斜面からの第2打がグリーン奥へのOBとなり、ダブルボギーを喫した。昨季は2度の2位と勝ちきれずに終わったが、今季の清水は違う。「まだ2ホールある」と自らを奮い立たせた。プレーオフ1ホール目で第1打を右の崖下の茂みに打ち込み「終わった。まただめなのか」と心が折れかけながら、パーをセーブし勝利へつなげた。
日大時代の17年日本学生で21年ぶりの1年生王者に輝き、将来を期待されプロの世界に入った。先に同学年の金谷拓実(27)、桂川有人(26)が勝利を積み重ね、今季開幕戦では生源寺も初優勝。「俺も早く勝ちたい」。焦りが生まれたこともあったが、最近は吹っ切れた。「自分は自分。いつかそのタイミングが来る」。信じてこの日を待った。
バッグにはウェッジが4本(47、52、56、60度)入っている。日本ツアー20勝の石川遼(33)からの助言がきっかけだった。2年前の食事の席。2番アイアンを入れていた清水は「そのクラブとウェッジを打つ回数、どっちが多い?」と問われた。20ヤード刻みの3本使用から10ヤード刻みの4本にしたことで、130ヤード前後の距離からチャンスを作る機会が増えた。
元々、海外志向は強い。20年にプロ転向した当時に思い描いた未来予想図とは、違う今を歩んでいる。「もう米国に行っているはずだったけど、うまくはいかないというか。遅れている」と打ち明けた。「今年は賞金王を目標に頑張りたいし、米ツアーの予選会にも挑戦したい」。キングになり、世界へ羽ばたく。(高木 恵)
◆清水 大成(しみず・たいせい)
▼生まれ 1999年1月17日、福岡・春日市生まれ。26歳
▼ゴルフ歴 9歳から始める。高校時代はゴルフ部のない東福岡高で個人活動し、2年時に九州オープンで2位
▼大学1年で日本一 日大に進み2017年日本学生で21年ぶりの1年生王者に。20年にプロ転向。21年にツアーデビュー
▼グリップ ツアー3勝の時松源藏を育てた篠塚武久氏の指導を受け、時松と同じベースボールグリップ
▼パット巧者 昨季平均パットでツアー歴代最高の1.6884を記録
▼趣味 ゲーム、トレーニング、車
▼サイズ 175センチ、74キロ
▼血液型 O