
9番のフェアウェーを笑顔で歩く渋野。初日6アンダーで単独首位に立った(カメラ・今西 淳)
◆国内女子プロゴルフツアー 富士通レディース 第1日(17日、千葉・東急セブンハンドレッドC=6697ヤード、パー72)
日本ツアー今季3戦目の渋野日向子(26)=サントリー=が7バーディー、1ボギーの6アンダー66をマークし、プロ8年目で同ツアー初の単独首位発進を決めた。前週まで日米ツアー5戦連続で予選落ち。絶不調だったパッティングの指導を受けた効果がてきめんで、バーディーを量産した。国内では最後に優勝した21年の樋口久子・三菱電機レディス以来4年ぶりの首位に立ち、復活の7勝目へ好スタートを切った。
しぶこスマイルが復活した。「渋野、頑張れよ~」の大声援を受け、強風の中でスタートすると、2度の2連続を含む7バーディーを量産。最終18番はパーを確信して歩き出したパットがカップに蹴られ「超かっこ悪いじゃん」とボギーも、米ツアーの23年スコットランド女子オープン以来、国内では自身初の首位発進だ。「自分でもビックリ。今までにないゴルフができた」と目を丸くした。
別人のようにパットが神がかった。出だし1番で8メートル、2番で7メートルをねじ込んで2連続バーディー発進。後半も14番で6メートル、16番で4メートルを沈めた。25パットは全体3位。「信じて打つことを最後までやりきれた」とかみしめた。
米ツアーは年間ランク104位と来季出場権の確保へ崖っぷちだ。前週は日米5戦連続で予選落ち。パッティングが絶不調で「悩みに悩みまくってる。変えたいし、逃げたくない。今まで感性でやってきたけど、科学的なものが必要」とわらにもすがる思いで、14日に福岡市のゴルフスタジオに足を運んだ。
打ち出しのテンポや向きなど最新の機械で計測したところ、問題が浮かび上がった。「リズムがバラバラ。体がモジモジして硬く、小さくなってた」。大きい筋肉で打ち、ボールの位置を少し近くした。約3時間の指導の成果は「予想以上でビックリ。もっと早く行けば良かった」とうなった。
6番パー4ではラフからチップインバーディー。花道を作るファンの拍手を全身で浴びて「昔を思い出してうれしくなった」と19年の海外メジャー、AIG全英女子オープンで初優勝し、国内4勝を飾った絶頂期を懐かしんだ。首位発進に「久しぶりで、どうしたらいいか分からない」と報道陣を笑わせた。「ショットは50%。まだまだ伸びしろがある。チャンスはつかみたいので頑張りたい」。4年ぶり日米通算8勝目へ突っ走る。(星野 浩司)
◆渋野に聞く
―18番はパット後に歩き出し、カップに蹴られた
「入ったと思ったんですよ~。でも、そういうところが自分らしいかな。(球が)360度くらい回らんでええやんみたいな。悔しさと恥ずかしさが残ります」
―福岡のパッティングレッスンの成果は予想以上か
「予想以上でビックリしてる。これが今日だけかもしれないし…。でも、すごく手応えを感じた。明日以降もこういうゴルフができるように頑張りたい」
―パットの良い感覚がショットの許容範囲を広げてくれたか
「それはすごい思う。今まで5メートルのバーディーパットがチャンスと思えなかったけど、今日の感じなら思えるんだろうなと、見本みたいなゴルフができてた」