サッカー日本代表・三笘薫の専属トレーナーが復活アシスト 畑岡奈紗3年ぶり優勝


シャンパンをかけられ祝福される畑岡(カメラ・谷口 健二)

シャンパンをかけられ祝福される畑岡(カメラ・谷口 健二)

◆米女子プロゴルフツアー TOTOジャパンクラシック 最終日(9日、滋賀・瀬田GC=6616ヤード、パー72)

 畑岡奈紗(26)=アビームコンサルティング=が米ツアー3年ぶりの7勝目を挙げた。悪天候で最終ラウンドが中止となり、前日まで首位で並んだ荒木優奈(20)=Sky=と対決。悪天候によるコース状況を考慮し、パー5の18番をパー3(実測129ヤード)に変更した異例のプレーオフ(PO)を1ホール目で制した。1998年度生まれ「黄金世代」の第一人者は今季からトレーニングや栄養面を見直し、今大会は7年ぶり2度目の優勝。日米通算12勝目を挙げ、次なる目標に「メジャー制覇」を掲げた。

 

 涙ながらに両手を突き上げた。畑岡はPOで2メートルのパーパットを沈め、初日から首位を譲らない完全V。雨にぬれた体にシャンパンシャワーが染みた。20歳ルーキーの荒木を相手に貫禄の日米通算12勝目。「3年も勝てないと、忘れられてるんじゃないかと焦りもあった。すごくうれしい」と喜びをかみしめた。

 中断から約3時間半後。18番パー5をパー3に変更する異例のPOに臨んだ。優勝の重圧がかかるパット。昨年4月に米ツアーの大会で短い距離を3パットしてから「自信をなくした」が、今年8月に高田洋平コーチの助言で右手を上から握るように変えた新グリップで決めきった。「弱いかなと思ったけど、最後転がって入ってくれてホッとした」。21年全米女子オープンで笹生優花に敗れるなど、POの悪夢を振り払った。

 年明けに27歳を迎える。「年齢的にも体の感覚が変わってくる時」と自覚した畑岡は、1月に「チーム畑岡」を発足した。サッカー日本代表MF三笘薫(ブライトン)の専属トレーナーを務める広木仁氏(44)を中心に、高田氏ら数人の指導を受ける。初めて栄養士をつけ、遺伝子検査を受けて自身に合った食事の量や栄養素を摂取。トレーニングやメンタル面もイチから見直した。

 「最適な緊張状態と最大の集中状態を出す」(広木氏)ために目と脳を鍛えた。アドレス時にボールを「点」でなく、周辺を含めた「絵」でぼんやり見ることで体の緊張を抑えながら集中でき、スイングが安定。今年2月、背後から来たGKのロングボールを、高い集中力と力みのないトラップで収め、得点につなげた三笘も実戦している鍛錬法だった。

 19歳だった18年に続く大会2勝目。3年ぶりの復活Vで米ツアー7勝目を挙げ「自信につながった。2桁勝利を目指したいし、メジャー優勝を達成したい」。黄金世代のエースが帰ってきた。(星野 浩司)

 ◆国内ゴルフの異例のPO 女子では07年スタンレーレディス最終日が台風の影響で中止となり、3人による3ホールストロークプレーの変則的なPOを上田桃子が制した。男子は12年トーシントーナメント最終日が雷雨中断を経て、日没迫る午後5時50分から池田勇太と呉阿順(中国)によるPOが18番パー5で開始。2ホール目から距離を短縮する特別ルールで行われ、最後は45ヤードの4ホール目を呉が制した。

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