【古賀敬之のゴルフあれこれ】  第一回 グリーンまでは「ヤード法」でグリーンに上がれば「メートル法」 


 ゴルファーが違和感無く使っているゴルフ用語。実は、よくよく考えてみるとおかしなものが多い。言葉は時代とともに変わり行くものだとはいうが、〝妙なゴルフ用語〟が広がったのは、我々、マスコミのせいかもしれない。一般の人は新聞やテレビ、ラジオなどから入ってくる用語などが間違った使い方をされているとしても、何度も繰り返し聞いているうちに、いつの間にかそれが正しい用語だと信じて使い、いつの間にか一般に広まってしまう。そんなパターンだろう。

 現在使われているゴルフ用語には〝和製英語〟がメチャクチャ多いのをご存知かな?例えば「パーオン」をはじめ、「ダボ」、「ダフる」、「トップする」だの…数え上げたらきりがない。よく言われることだが「ナイスショット!」だって〝本場〟じゃ通じない。そして、ゴルファーなら誰でも違和感なく使っている「ショートホール」「ミドルホール」「ロングホール」もそうだ。そして、ボールがあらぬ方向に飛んだときに「ファ~~ッ!」と発する掛け声さえも、実は違う。「へ~、そうなんだ!」と酒の席で話題にでもなれば幸い。そして、海外でプレーした時に恥をかかないためにも…。

 蔓延している外国語と日本語のごちゃ混ぜ使用はゴルフ用語に限ったものではない。例えば、「携帯電話の番号を教えて…」などと聞けば、返って来る答えは「え~っと、ゼロ、キュウ、ゼロの…」だろう。実は、ゼロは英語。キュウは日本語。従って、正しくは「レイ、キュウ、レイ…」となるはずだ。しかし、正しく使っている人はごく少数派だろう。実際、何語であろうと意味さえ通じればそれでOKというのが「コミュニケーション」。ちなみに、「コミニュケーション」と間違っている人も多いが…。何語だか分からずに使っているものの代表格に秋の味覚「クリ」がある。「クリを英語で言ってみて?」と問えば、十中八九「マロン!」と返ってくるはずだ。しかし、この「マロン」は実はフランス語。英語では「チェスナット」という。ちなみに、「くるみ」は「ウォルナット」。

 これと同じで、ゴルフでも何の違和感も無く、「グリーン中央までは120ヤード。カップ手前2メートルくらいから急な上りなる」などと使っている。

 何がおかしい? 実は、「ヤード」と「メートル」では基準単位が全然違う。それこそ、「ヤード・ポンド」の英語と「メートル・キロ」のフランス語(世界共通だから日本でも使う)のごちゃ混ぜ。それを全く、違和感無く使っている。ま、プレーには全く支障はないのだが…。

 

◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。

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