【古賀敬之のゴルフあれこれ】  第十一回 青木の会心のショットは「チップイン・イーグル」ではなかった


 辞書などには「グリーンの外から打ったボールがカップインすること」と簡単な解説がかかれている。チップショットとは、途中にバンカーなどの障害物などが無く、グリーンから比較的近いポジションから打つ(寄せる)小さなショットのこと。だから、正確には「グリーンの外からのチップショット(ちょこんと打ち出された)のボールがカップインすること」である。従って、「バンカーからチップイン!」などという表現は、バンカー内でチップショットする人はまずいないため、用法としては不適格だ。1983年のハワイアンオープンで青木功が最終18番で左サイドのラフ、128ヤードから「チップインイーグルで大逆転勝利」などテレビのニュースなどで放送され、日本中を大いに沸かせたが、実は、青木はピッチングウエッジでのフルショットで放り込んだ。だから、正確には〝チップイン〟では決してない。この時、ゴルフ用語を正しく使ったマスコミは「直接カップインで逆転イーグル」というような表現を使っている。また、グリーン外からパターを使って転がして入った場合もチップインではない。チッピングではなく、パッティングで入ったのだからこれも用法の間違いである。パットインなんていうのも聞かないが、そのうち出てくるかも…。

 

 ◇古賀 敬之(こが・たかゆき)
1975年、報知新聞社入社。運動部、野球部、出版部などに所属。運動部ではゴルフとウィンタースポーツを中心に取材。マスターズをはじめ男女、シニアの8大メジャーを取材。冬は、日本がノルディック複合の金メダルを獲得したリレハンメル五輪を取材した。出版部では「報知高校野球」「報知グラフ」編集長などを歴任。北海道生まれ、中央大卒。

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